第85話
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で望む盤面を引き寄せようとしている。―――そうじゃないか?」
「…………正直、驚きました。教官の聡明さはもちろん、ある程度は把握していましたけど。――――まさかそんな形で”斬り込んで”来られるなんて。」
リィンの推測に対してミュゼは静かな笑みを浮かべて答えた後意味ありげな笑みを浮かべてリィンを見つめた。
「ッ…………!?」
(アイドス様…………今、ミュゼさんの雰囲気が…………)
(ええ…………恐らくあれが”本当のミュゼ”なのでしょうね。)
ミュゼの雰囲気が変わった事にリィンが驚いている中、状況を見守っていたメサイアの推測にアイドスは静かな表情で頷いた。
「”八葉一刀流”でしたか…………そのあたりの心構えなのかしら?”私”という人間を捉えるのに特殊な視方をされたんですね…………?」
「…………”観の眼”といってね。あらゆる先入観を排し、あるがままを見て本質を捉えようとする…………(くっ…………なんだ?頭が痺れるように甘い…………)」
一歩自分に近づいてきて問いかけたミュゼの問いかけに対して答えたリィンだったが内心体調に何かの違和感を感じていた。
「ふふっ、そうですか…………極めれば何事も”理”に通ずる…………やはり欲しいです。灰色の騎士としてではなく、先輩の大切なお兄様としてでもなく、姫様の伴侶としてでもなく。教官のことを―――教官の心も魂も…………」
「っ…………!」
「あ…………」
意味ありげな笑みを浮かべてリィンに迫ろうとしたミュゼだったが我に返ったリィンによって止められた。
「ふう………危ない危ない。―――今更かもしれないがあんまり大人を揶揄うんじゃない。相手によっては冗談にならないことだってあるんだぞ?」
「……………………ふふっ、失敗しちゃいました。以前、尊敬する方の一人に教わった”殿方を虜にする魔法”だったんですが。」
リィンの忠告に対して真剣な表情で黙ってリィンを見つめていたミュゼだったがすぐにいつもの調子に戻って答えた。
「え。」
「うーん、やっぱり香りも重要みたいですねぇ…………あのラベンダー…………何とか取り寄せられないかしら?」
「君は…………いや―――」
ミュゼと対峙していたリィンはふとクロチルダの事を思い浮かべた。
「ふふっ、別にゲルドさんみたいに”魔女”を気取っているわけじゃありません。ですが以前、”とある”機会にお話しすることがあっただけで…………これ以上はヒ・ミ・ツです♪」
「…………ハハ…………―――わかった。そこの詮索は止めておこう。さあ、そろそろ寝た方がいい。明日は多分、早いぞ。」
「ふふ、わかりました♪教官が添い寝してくださったらグッスリと…………」
「しません。ほら、良い子だから。」
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