第85話
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し。」
「ハッ、言ってろ。―――明日はどう考えてもヤベエんだろ?”俺達”Z組を率いるつもりがあるならとっととアンタも休むんだな。」
「…………ああ。おやすみ、アッシュ。……………………―――それで、”君の方”はいつまで起きてるつもりだ?」
その場から去って行くアッシュを見送ったリィンはその場で黙って考え込んだ後後ろへと振り向いて目の前の大きな木に語り掛けた。
「クスクス…………バレちゃいましたか。」
すると木の物陰からミュゼが姿を現してリィンに近づいた。
「えっと、別に立ち聞きしようとしていたわけではないんですよ?ただ明日のことが心配で目が冴えたので潮風に当たりたくて…………って、アッシュさん相手とあまりに態度が違いすぎません?ハッ、もしかして―――」
リィンと対峙して理由を説明したミュゼだったが何も語らずジト目で自分を見つめるリィンの態度に困惑した後ある事を察してその内容を口にしようとしたが
「そういうのはいいから。…………わかってると思うがくれぐれもアッシュのことは―――」
リィンが制止してミュゼに口止めを頼んだ。
「ここだけの秘密、ですよね。個人的に、アッシュさんの経歴に興味は出てきてしまいましたが…………少しだけ我慢することにします。」
「ああ、そうしてくれ。…………君にかかったら大抵のことは丸裸にされてしまうんだろうからな。」
「あら…………ひょっとして教官…………先程の話、私にも聞かせていました?」
「君の気配はわかったからな。さっきアッシュに言った、互いに影響を受け、与え合う関係…………―――いうまでもないだろうが君に対しては、少し違った意味がある。」
「……………………」
「この2週間…………担任として接して改めて確信したよ。秀才かつ天才的なクルトよりも、才能の塊みたいなアッシュよりも。人間として力強いユウナよりも、特異な経歴を持つアルティナやゲルドよりも。―――君は普通じゃないな。あらゆる意味で、空恐ろしいほどに。”あのレン教官”が君の事を相当高く評価していた”真の理由”も今ならわかるよ。レン教官と君は”似た者同士”だからこそ、君の”空恐ろしいほどの普通じゃない所”を悟っていたのだろう。」
「……………………」
リィンの評価に対してミュゼは何も答えず静かな笑みを浮かべてリィンを見つめていた。
「君の蠱惑的な言動、ちょっとした冗談やおふざけ、一挙手一投足に至るまで―――全てが俯瞰され、計算された上でどう因果が巡るかまで君には視えている。あくまで自然に、君自身が楽しみながら。アッシュが女郎蜘蛛なんて君のことを揶揄していたが…………そんなレベルじゃないだろ。さしずめトップクラスのプロのチェスプレイヤーのように…………何千手、何万手先まで読ん
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