第85話
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くメリットなんざどこにある?」
「メリットが無ければ担任として教えたらいけないのか?」
試すような視線で睨んでくるアッシュの問いかけに対してリィンは静かな表情で問い返した。
「俺はさ、アッシュ。自分がここまで来れたことに感謝しているんだ。そりゃあ、嫌だったさ。あんなに仲が良かった特務支援課のみんなと数ヶ月で離れ離れになったのは。内戦以降関わるつもりがなかったエレボニアの政府に灰色の騎士なんて持ち上げられたのも。もっと言えば、捨てられて拾われて、気味の悪い力を持っていた事も…………―――でも、それらが何の意味もない、無駄なことだなんて思いたくはない。君だってそうなんじゃないか?」
「っ…………!……………………」
リィンの指摘に対して息を呑んだアッシュは目を伏せて黙り込んだ。
「…………君の”事情”は知らない。だが、育ててくれた人の愛情はわかる。何だかんだ言って面倒見いいしな。仲間のフォローもちゃんとするし。」
「ハッ、そんなの……………………」
「君のありとあまるスペックからすればどうってことない、か?ちなみに君は大したヤツだとは思うがそれぞれ上には上がいるぞ?クルトは壁を感じているみたいだが間違いなく剣士としては天才だろう。ユウナもあれで、警察学校を卒業した、タフさも粘り強さもある有望株だ。アルティナは生徒の枠に囚われなければトップクラスのエージェントでもある。ゲルドは予知能力を抜きにしても、魔術師としては天才だろう。ミュゼは…………まあ、コメントは控えておこうか。」
「クク…………ま、わかるけどな。」
ミュゼだけ評価しなかったリィンの心情を察していたアッシュは口元に笑みを浮かべた。
「まあ、言いたいのは、君も間違いなく彼らから影響を受け、また与えているってことさ。それを是とするか非とするかはあくまで君自身の問題だろう。だが、そこに少しでもメリット以上の”意味”が見出せそうなら―――Z組特務科という集まりに、君の”居場所”がありそうだったら。俺はその手伝いをしたい―――ただ、そんな風に思っている。」
「ぁ…………ククッ…………―――ハハハハハッ…………!はぁ〜あ…………クセぇ、クサすぎる!何でこの俺がこんな青春ドラマにつきあわされてんだっつの…………!」
リィンの指摘に一瞬呆けたアッシュは声を上げて笑った後苦笑した。
「君のZ組編入を決めたのは分校長だから、文句はそちらにな。――――ちなみに俺の意見を言えば、アッシュが入ってくれたのは嬉しいぞ、社交辞令とかじゃなく。」
「キモいんだよ…………ったく。―――今日のところは大人しく引き上げて寝ててやるよ。アンタの自分を曝け出すやり方に先制されちまったみてぇだからな。」
「時と場合によるさ。絶好のロケーションでもある
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