140悪鬼羅刹
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こで当主が人を掻き分けて来て女主人を蹴り倒し、仕置用の鞭で何度も何度も打ち据えた。
「相手は誰だっ? 父親は誰だっ? 言えっ、言えっ! 売女はお前だっ!」
床に倒れ、這いずって鞭から逃げ、髪も化粧も高価な着物もボロボロになり、無様な醜態を晒す女主人。
「自分はあれだけ浮気をしておいて、どの口が言うかっ! ああっ!」
開いた口と顔にも鞭を貰い、見るに耐えない醜女と化した女主人。その腹に母は何度か蹴りを入れた。
「アハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
その姿を見て狂ったように笑い出した母は、自分を馬鹿にし続けた、同年代の女の前で踊りだした。
「この女はご当主様の娘に非ずっ! 不義密通の果てに生まれた忌み子なりっ! 天網恢恢粗にして漏らさずとはこの事だぁっ!」
この呪われた家に入り、栞に続いて母も壊れた。
「嘘よっ! 私こそが正当な血統っ、この力こそがその証っ!」
右手を出して母親に向け何かをしようとした所で、転移して来た栞に腕を掴まれた。
『グルルルルルルッ』
動物のように喉を鳴らし、獣の目をして女を見据える栞。
もう舞の右手の魔物は抜けているが、腹の中の子供に天使の人形の分体、栞を呼びに行った祐一が入っている。
『オマエ、イマ、オカアサンニ、ナニヲシヨウトシタ?』
掴んだ腕を見ると、とがった爪が何センチか伸び、母を引っ掻こうとしたのが分かった。
『タッタコレダケ?』
そのまま腕を引っ張ると、袖が滑って行きスルリと下に落ち、右腕は体に繋がっていなかった。
「ぎゃあああああああっ!」
体から外れた右手は異空間に捨てられ、血も出なかったが、本人だけは右手の上を這いずる、ヌメヌメした何かを感じて悲鳴を上げ続けた。
『大丈夫ですよ、その大きなナメクジ、体に卵を産み付けて、体の中で大きくなるだけですから。ある程度育ったら、口かお尻から出てきます』
「イヤアアアアッ!」
考えられる中で最悪の答えを聞かされ、転げ回って叫ぶ女。
栞はその場から転移して、別の男の前に現れた。
「父親はこの人です」
「お前かあっ!」
鞭で制裁され、丸まって耐える年配の男。女主人と同年代の男は、若い頃に不倫を命じられ、長女が産まれていたらしい。
「こいつらの身ぐるみ剥いで、安物の服でも着せて追い出せっ、金は持たせるな、こいつらを引き取った奴は許さんっ」
女当主、不倫相手、その娘、娘が産んだ子供までが引き立てられ、別室に連れて行かれそうになった。
「あ、この人だけ待って下さい」
「え? 助けてくれんの? お願いっ、助けてっ」
当主の出来の悪い孫と思われていた娘を止め、腰に付けていた携帯電話を奪うと、電源を入れて操作し始める栞。女の言葉を無視して、観客に向かって話す。
『これから私の隠し芸をお見せします、でき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ