140悪鬼羅刹
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は、鬼のような顔をしながら縁側を降り、足袋で男の頭を踏みにじり、顔を土の上に擦り付けた。
「今日は殺さんっ! わしが直々に体に聞いてやるっ、足を切って座敷牢に入れておけっ!」
逃げられないよう、その場で足の腱を切られた男は、栞が入れられるはずだった座敷牢に引き摺られていった。
「嫌だーーっ! 違うっ! 言ってないっ! 思っただけなのにっ!」
処刑が続く大広間で、身に覚えが覚えがある者は、どうやって逃げるか考え始めていた。
「栞っ、わしが許すっ、他にも反逆者がおれば言えっ!」
興奮し、誰も信じられなくなった当主は、栞に粛清の続きを命じた。
「女性も集めて頂けますか?」
「よしっ、女も全員集めろっ! 飯炊きも全部だっ!」
暫くすると、別室で待機していた女や、給仕や飯炊きまで広間と続き部屋に集められ、立錐の余地が無いほど混雑してきた。
邪魔なので従業員は栞が額に触れ、無罪の者は開放して行ったが、一人の前で止まり、当主に向って聞いた。
「あの、盗みとか小さな犯罪もですか?」
「言えっ!」
屈強な男に取り囲まれ震えている女中、既に手を捻られ逃げられないようにされ、下を向いて観念した。
「ロッカーで別の従業員の財布から、見付からない程度、お金を抜いています。家の人からも大きな金額を何度か盗ってます」
「連れて行けっ!」
窃盗で何人か消えて行き、最後に三人残した所で栞はこう言った。
「この人達、天野の家とか警察のスパイです、でも情報ごとにお小遣いを貰える程度の人たちです」
「クビだっ、仕置きして前科者にして、どこでも働けんようにしてやれっ」
やっと家の者だけになると、逃げ出さないようその場に座るよう命じられ、震え上がりながら審判を待つ一同。
そこで栞はこの家に来て、始めて子供らしい声で母を呼んだ。
「ね〜ね〜、お母さ〜ん? この中で〜、お母さんを虐めた奴って〜…… 誰?」
子供っぽい声で聞き、最後の言葉だけ低く呪いが篭った声だったので、家人の恐怖が更に増した。
そこで母は、無言で女主人の前に立って睨み付けた。
「この人? お母さんや私に「役立たず」って言ったり、「いつ死ぬのか」電話で聞いてきたり、「めでたい行事の日に死ぬな」って注意した人?」
母は女主人から目線を逸らさず無言で頷き、睨み続けた。
栞は額に手を当てると、笑いながらこう言った。
「この女の三番目の子供、ご当主様の子供じゃありません」
その場の誰もが当主候補の長女に目を向けた。
「何を言うかっ! この恩知らずがっ! 誰のおかげで今日まで生きて来られたっ? 病院の費用は誰が出したっ! この売女がっ!」
「病院代を出したのは、うちのお爺さんですよ」
暴れる女主人の肩を母が上から押さえ、立たせようとしなかった。
そ
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