第二章
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れており、この当時から賢者の資質を備えていたと言えよう。
マリアーネも妹を大層誇りに思い、妹が好きなだけ学べるようにと取り計らっていた。その一つが夫シュテットフェルトへ教師として仕えることが出来る様にしたことであった。そうすれば、城の大図書館にある各国から集められた書物を自由に閲覧出来るからである。
妹がいつまでも自由に学び、それを好きなだけ発展させられるように…。
国のためでもあるのだが、やはり妹が可愛くて仕方ないのだ。
数年後、そんな幸せの中で、きな臭い話が出始めた。戦が始まる…と言うものである。
何故そんな話が広まり始めたかと言えば、各国が魔術式の実験を本格的に行い始めたからに他ならない。
そんな折、マリアーネが城から少し離れた丘の中程で倒れているのが発見された。
昼には戻ると言って供も連れずに出掛けたが、それはいつものことであった。いつも行く場所は決まっており、守衛もシュテットフェルトから好きにさせる様にと言われていたのだ。
だが、その日は違った。夕近くなっても戻らず、衛兵が何人かで探しに出たのである。
しかし、彼らがマリアーネを見付けた時には、彼女は既に冷たくなっていたのであった…。
シュテットフェルトもシヴィッラも、その報告に耳を疑った。いつもと同じ…それなのに、なぜ…と。
報告に拠れば、マリアーネは丘の中腹にある巨石の脇で発見された。躰には噛み傷があり、持っていたバスケットの中は食い荒らされていた。恐らくは野犬がバスケットの中身欲しさに襲い掛かり、マリアーネは運悪く岩に頭をぶつけたと考えられた。
「姉らしい…。魔術を行使すれば良いものを…。」
シヴィッラは姉マリアーネが描かれた肖像画の前に座り、一人溜め息をついた。
マリアーネの葬儀の後、シュテットフェルトは気力を全く失っていた。私室に塞ぎ込んで誰も近付けず、シヴィッラも一月以上会っていなかった。
「友として…姉の夫として…彼を立ち直らせないと…!」
シヴィッラは自ら頬を叩いて気合を入れ、亡き姉へと誓った。そして支度を整え、彼女は城へと赴いたのであった。
「シュテットフェルト皇子にお取り次ぎ願いたい。」
良く見知った守衛にそう言うと、守衛は寂し気な表情を見せて返した。
「シヴィッラ様。皇子は今、誰とも取り次がぬ様にと仰せです。」
「私でも…ですか?」
「いえ…特定の個人名は誰とも…。」
「無理ならば良いのです。ですが…一度だけ、私が来たことを告げてはもらえませんか?」
守衛は少し間を置いて「分かりました。」と言い、シヴィッラの来訪をシュテットフェルトへと告げに行った。
その間、シヴィッラは辺りを何気なく観察していたが、ふと…ある事に気が付いた。
「やはり…兵が増えているわ…。本当に戦になるのかしら…。」
マリ
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