第二章
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楽、哲学に魔術・神聖術にも深い関心を寄せていた。
シヴィッラは、そんな彼を姉の婚約者や皇子と言った肩書きに囚われず、彼を“友”だと思っていた。家族とは違うが姉を心から愛し、共に在りたいと言った彼を、シヴィッラは本当に嬉しく思ったのだ。
シヴィッラの家…マルクアーン家の家格は侯爵である。故に、姉と皇子との婚約は何事もなく済んだが、もし家格がもっと下であったなら…それでもシュテットフェルトは彼女、マリアーネを選んだと言う。
「シュティ。この基礎魔術の式だけど、貴方ならどう変えますか?」
「そうだな…これは変換させるための術記号の様なものだろう?媒体が何であれ、強制的に変換させられてしまう。だから外枠に抑制術式が編み込まれている訳だから…外枠にある式へ特定のものを変換させる様に変えるかな…。」
「それじゃあ、その特定のものの元素に関わる全てが変換されちゃうわ…。」
「…そうだな…。式は人間が作った物の名を記しても意味がないからな…。それじゃ、縮小や拡大が出来る様に…」
「それはもうあります。」
「そうか…あ、元素の加減が出来る様にすれば…。」
「そうですね。この式は影響を必要最低限に維持するためのもの。でないと、行使した本人さえ元素から変換され、術式を止める術者がいなければ世界が消えてしまいます。でも、一つの元素の加減でだけであれば、内側にある式が逆に抑制して成り立つやも知れません。」
ここはシュテットフェルトの私室。この日は魔術のことを学びたいと、シュテットフェルトがマリアーネに頼んでシヴィッラを呼んでもらっていた。
「今日はこのくらいにしておきましょうか。」
「そうだな。しかし、十四歳でこれ程の知識があるなんて…マリアーネもそうなのか?」
「どうでしょう?私は魔力が全く無かったので、こうして他で補ってるだけです。」
「それを言うなら、私もさして強い力はない。それでも幼い頃より学んできた私より、シヴィーの方が余程ものを知っている。それは充分“力”だよ。」
そう言われたシヴィッラは、何だかよく分からないと言った風に首を傾げて返した。
「知識は力…ですか。でも、知っているだけでは意味はないのでは?」
「いや、君はきっと偉大な人物になると思うよ。私が保証する。」
そう言ってシュテットフェルトは笑ったが、その時のシヴィッラには冗談にしか聞こえなかった。
皇子と姉マリアーネの婚礼の儀が盛大に行われた後、シヴィッラは皇子専属の教師として正式に招かれた。
それというのも、彼女は農作物及び耕作地の改良の知識、それらに加え、天文学、地学、気象など、様々な分野を独自に学び取り、他にも文学、芸術にも精通し、宗教、倫理、哲学さえも修めていた。その上、魔術と神聖術の理論もマスターしていたのである。
シヴィッラは当時の皇帝にも認めら
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