悪意の牙、最悪の謀 (後)
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化に、そして鋭い直感故に、オルタがハッとしてアルケイデスの倒れたままの骸を見る。
「死体が残っている……!? いや、それだけではない……これは……聖杯!? シロウ! あそこに聖杯の反応が!」
霊核を破壊されたサーヴァントの死体が残るなんて有り得ない。必ず消滅する。
にも関わらず、どうして彼の骸が残り続けているのか。オルタの言に、クー・フーリンが厳しい顔つきになり臨戦態勢となる。そして士郎の脳裏に電撃が走った。
カルデアとの通信が途絶えた。いつも肝心な時に切れるから、今回も「またか」と感じただけで気にしていなかった。だがそれが何かの予兆だったとしたら……? アルケイデスが死んでも残り続ける骸、縫い止められたような心象世界。そしてオルタが真っ先に気づいた聖杯の反応――
そしてかつて敵の思考と心理を分析し、その能力と特性を考察していたのが、全てこの瞬間に結び付く。
「そう、か――!?」
愕然とする。
もっと早くに気づくべきだった。人類史焼却者は聖杯を使って特異点を造り出している。
製造したのか、はたまた調達したのかは定かではないにしろ、魔神柱らは複数の聖杯を所有しているのである。それ即ち、一つの特異点に複数の聖杯があってもおかしくない、という事ではないか。
この第三特異点の元凶となる聖杯とは別に、もう一つ聖杯があり、それを埋め込まれたのがヘラクレスだったのだ。
魔神柱は世界に落とされた錨。世界を固定するモノ。それは固有結界という名の心象『世界』を固定し、術者が解除する事を決して許さない。果たして固有結界・無限の剣製は士郎らを閉じ込める牢獄となった。
最強の大英雄の力の根源だった無尽蔵の魔力。骸は消えない。死んでも残っている。ただでさえ強大だった霊基が、死体のまま数倍に膨れ上がって――
――読まれていた。知られていた。第二特異点で交戦した魔神霊から情報を得ていたのか、士郎が固有結界を使える事を知っていたのだ。
そうとしか考えられない。魔神柱は、士郎が切り札を切って戦いを終わらせると分析していたのである。
そして魔神柱はこう考えている。士郎らが魔神霊を倒せないならそれでよし、倒されるにしろ、時間は確実に稼げる。――いや待て、おかしい。自然に流してしまったが、魔神柱が互いに情報をやり取り出来るのはいい、そうでなければ士郎が固有結界を扱える事を知っているはずがない。
だが冷静に思い返せ。士郎が固有結界の使い手だと魔神側で知っているのは、第二特異点で戦った魔神霊のみのはず。そこからしか漏れようがない。この周到な策には、固有結界の存在を織り込んでいなければ有り得ない数式がある。
しかしその魔神霊は倒した。であれ
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