悪意の牙、最悪の謀 (後)
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に揺らぐ。その隙を狙い澄ましてアルケイデスは踏み込み、一瞬にして治癒された豪腕で彼を殴り飛ばす。
腹部を貫く拳?にクー・フーリンは吐瀉を撒き散らして吹き飛び、城壁に叩きつけられた。
手応えはあった、しかし仕留めるには到底至らない。だがそれで構わなかった。斬りかからんとしていたオルタは、即座に黒剣を虚空に放り、背中の選定の剣を三本とも引き抜く。柄を三本握り締め、全てに魔力を込めた。所詮は使い捨ての投影宝具、躊躇う必要はない。
「撃ち抜け、『勝利すべき黄金の剣』――!」
「――『射殺す百頭』」
三条の極閃が放たれる。オルタの魔力に耐えられなかった投影宝具が自壊する。迎撃は転瞬、アルケイデスが槍技に於ける奥義を開陳した。
巨躯の筋肉を膨張させ、躰を丸めるようにして力を溜めたアルケイデスが、両手で構えた巨槍を打ち出すようにして突き出す。九連する極光の閃きが、三条の宝剣の煌めきを完全に打ち消した。
「『約束された』――」
しかしオルタに動揺はない。この一撃で決める為の布石に過ぎなかったのだ。あらかじめ充填を終えていた、手元に落ちてきた黒剣を掴んで下段に構え、城諸共に全てを破壊する破壊の撃槌を放たんとしていた。
――だが、自らの奥義を次手の布石としたのはアルケイデスも同様だった。彼は最果ての槍を擲つ体勢を整えている。オルタの全身に鳥肌が立つも、止まれない。止まる訳にはいかない。
「大地を支える者。西の果てに埋もれる者。旧き神々の末裔アトラスよ、天地を投げ出し逃れるがいい。その五体、別つ時が来たのだ――」
「――『勝利の剣』ッッッ!!」
「さあ!『最果てを担いし巨神の柱』よ! 星の力に抗えい!」
黒き極光が斬り上げられる。黒王の全力の聖剣解放、対するは全くの同位に位置する最果ての槍である。投擲された最果ての槍が地の底より噴出した、黒い津波のような黒光の奔流を、正面から破らんと黄金の光を纏って飛来する。
激突の瞬間、光が消え、音が死ぬ。炸裂した桁外れの宝具の鬩ぎ合いは完全に互角だった。城が防壁となっていなければ固有結界は崩壊していただろう。その城も余波のみで多大な損傷にひび割れようとしている。
――宝具が互角なら、決定打となるのは担い手の力量である。
オルタの魔力、筋力を遥かに上回るアルケイデスの巨槍が打ち勝った。真名解放の魔力は打ち消されるも、投擲の威力は残っていたのだ。飛来した巨槍は、最大の一撃を放っていた故に硬直していたオルタに突き刺さる。
「か、は……っ」
腹部を貫く槍で地面に縫い付けられるオルタ。アルケイデスが地を蹴り一瞬にして間合いを潰すと槍
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