悪意の牙、最悪の謀 (前)
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にものを言わせたその一撃の重さはクー・フーリンを超える。腰だめから戦車の砲撃を上回る剣撃が振るわれ、残留霊基の黒い残滓を纏うアルケイデスが応じて巨槍を振るった。
剣の間合いに踏み込ませぬ迎撃の刺突は瀑布の如く。槍の壁が押し寄せるかのような点の軌跡。オルタは力で圧すも微塵もアルケイデスを圧倒出来ない。精妙無比な槍術の枠が却ってオルタに被弾する。攻め込んだはずがあべこべの防戦へ、しかし堅固な鎧は擦り傷程度跳ね返し、瞬間的には拮抗する。オルタは吼えた。
「ジャッ!」
敢えて槍の一撃を左肩の鎧に受け、裂帛の気閃と共に原始の呪力を撃ち放つ。下段より切り上げた一撃はアルケイデスに捌かれるも、微かに両の足が浮いた――其処へ飛来する無数の剣弾。四方八方より殺到する伝説の魔剣、聖剣、宝剣。刀身に絡み付いていた草々の根、蔦が地に落ちる。
アルケイデスからすれば、それを防ぐ必要は本来ならない。神獣の裘はそれら人理に属する投影宝具を遮断する。しかし生まれ持ってのそれと、研鑽の末に身に付けた心眼は防禦を選択させた。
巨槍を縦横無尽に振るって次々と撃墜する。砕け散る鋼が虚空に融け、しかし無限に続く絨毯爆撃は留まる事を知らない。そして不意に間合いと呼吸を見抜いた鷹の目の心眼が仕掛けた。巨雄の槍に更なる投影宝具の霰が撃ち落とされる寸前、その全てが爆発したのだ。
壊れた幻想による飽和爆破。人理に属していた投影宝具とはいえ、その現象は神秘の炸裂だ。そして爆風、爆裂という属性は人理の如何などに関わらない。アルケイデスは瞬時に顔を腕で庇い、自らを地面に縫い付けるが如き爆撃の中で防禦を固める。
オルタが聖剣に魔力を込める。卑王鉄槌――刀身を砲台に見立てた魔力砲撃。腰を落として両手で構えた聖剣より、いざその魔力の暴風を解き放たんとした刹那。爆撃地よりアルケイデスが脱出する。
全身を煤けさせながら、しかし欠片たりともその気迫を衰えさせず、凄惨な火傷や裂傷を負った姿でオルタに刺突を見舞う。大規模な爆撃に晒されていた途上でそれだ。故にその突進がオルタには不意打ちとなる。面食らうオルタだが即座に反応し槍を受け止めた。しかし巨槍より圧縮された燐光が解放され、オルタの全身を打ち据える。
巨大な槌に殴打されたような衝撃。意識が刹那の間だけブラックアウトする。それほどの一撃。吹き飛んだオルタへ、しかしアルケイデスは追撃に出ない。それを断つ剣弾の雨が吹き飛んだオルタの後方より放たれ、無理矢理アルケイデスの進撃を食い止めたのだ。
アルケイデスは舌打ちし飛び退く。絨毯爆撃に縫い止められるのは面白くない。転瞬、その背後より迫った朱槍の気配を感じて振り向き様に巨槍を振るった。火花が散り、豪腕が唸る。
「ハッ、オレを忘れちゃいなかったようだな!」
「痴れ言を。お前を忘
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