139未来予知
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
それでも信じないから、「ババアが厨房に怒鳴り込んで、あたしのお膳に毒を盛る用に言って、断られたら下剤入れるように言った」って予言した、本当にそうなったわ」
「あははははっ!」
香里の口から、あの女主人を蹴って踏みにじり、追い払った状況を身振り手振りで教えられ、堪えきれずに泣きながら笑う母。
能力無しと思い込んでいた姉の力は、「癒やし」に匹敵する「未来予知」の力だった。
最上位の「この世の宝玉」が二人の中にあり、何よりも尊ばれる状況にも涙したが、その力を与えてくれた祐一にも感謝していた。
「もう、何泣いてんのよ、あたしが悪いみたいじゃない」
笑いながら泣き崩れる母を見ていられず、目を逸らす香里。
涙もろい父や妹まで泣いてしまったので、自分も釣られそうで上を向き、ここにいない自分の相棒に感謝し、心の友達が強化してくれた体や力に誇りを持って伝えた。
(ありがとう、川澄さんの左手)
後日、その相棒に胸をモミモミされたり頭をナデナデされたり、栞の相棒である右手に指二本でグチュグチュにかき回されたり、「舞お姉さま」と呼んでベロチューして、(こっちに帰って来て)と心の中で呼び出したり、両方の相棒に足を広げられて「はちみつを舐めるクマさん」されるのを知らない香里は、永遠に帰って来ないと思っている相棒に別れを告げた。
やがて、大広間に案内された一同は、廊下から広間を見渡たして違和感を感じた。上座から末席まで、男だけしか座っていなかった。
「相沢祐一様の婚約者筆頭であられる、美坂香里様、御入来です」
まず香里だけ案内され、拍手で迎える親族の前を通り、当主の隣に座らされた。
「同じく、婚約者次席であられる、美坂栞様、御入来です」
栞も拍手で迎えられ、姉の隣に案内されて一礼してから座ったが、両親は呼ばれもせず、隣の部屋で座布団を勧められ、別室で見聞きすることだけ許された。
「皆の衆、よく集まってくれた。今日は相沢様の嫁となる二人のお披露目だ、解散した本家から来てくれた者もおるようだが、今日は目出度い席だ、無礼講としよう」
「本日から名実とも、この家が本家、ご当主様が倉田宗家をお名乗り下さい」
「うむ、よう言うた、この家から嫁を二人も出す以上、他の家を超えて、我が家こそが宗家だ、まずは乾杯しよう!」
面倒な挨拶を嫌ったのか、当主が柏手を打つと、廊下から女達が入室して盃に酒を注いで回った。
「よし、行き渡ったか? では乾杯!」
男達に習って、香里も酒を口にしたが、栞は毒を警戒して口を付けなかった。
「では早速、「千里眼」と「遠寄せ」のお力、お見せ頂けますか?」
次期当主と思われる上席の者が口にしたが、当主は嫌な顔をした。
「わしが先程確認したっ、それより先に発表する事があるっ」
「いえ、余興ですので、その前に是
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ