139未来予知
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ったのか、目頭を抑えながら涙を流す当主。そこで失態を見せないよう、即座に女が声を上げた。
「ご当主様、お下がりにございますっ」
栞は手を着いて頭を下げ、障子が従者の手で開くと、当主は挨拶代わりに手を上下させながら別室に下がって行った。
その後、別室に控えていた両親と合流すると、心配した母が駆け寄ってきた。、
「どうだった? 乱暴な物言いをしてたようだけど、脅されなかったかい?」
「お姉ちゃんの方が乱暴でしたよ、正座もしないで態度も最悪で、女主人の人にひっぱたかれたら、逆に蹴り倒して踏んづけたり、お金を貰うまで頭も下げなかったし、予知するように言われたのに早速喧嘩を売って「この家も何もかも分捕って、あたしの思い通りにしてやるっ」って」
胸のすくような姉の啖呵を思い出し、笑いながら言いつける栞。
姉の方は横を向いて口笛でも吹きながら誤魔化していた。
「予知をしてご祝儀をもらう時も、こうやって「ごっつぁんです」だって」
姉の真似をして三方を切って、相撲取りのような声を出した。
「ほんとにあんたって子は、礼儀作法も何もあったもんじゃないわねえ」
ほっとしたのか、母も釣られて笑ったので安心する。
「それより聞いてよ、この子の方がおかしいって、「秋子様」に「祐一様」に「お種を頂戴した」よ、絶対どうかしてる」
仕返しに言い付けられたが、間違っているのは姉の方なので、教育してやらなければならない。
「この家ではそう言うのよ、知らなかった? 間違うと酷い目に遭うわよ」
昨日の天野家の事務員を思い出し、妖狐の世界のヒエラルキーを見誤った者は何らかの制裁を受ける。栞はこの家では様付けを通すことにしていた。
「母さんの方が大変だったんじゃない? 確か、あたしらの今までの養育費渡されて、「今までお疲れ様でした、もうお帰り頂いて結構です」って言われたんでしょ?」
何故かこの部屋での出来事を知っている香里に驚く両親。括弧内はふざけて言ったが、この場にいたかのような言い回しに違和感を感じた。
「ええ、そうだけど、お金に手を付けないでいたら、途中で人が入って来てやめるように言われたって……」
「秋子さんの予言を言いつけてやったの、要求は全部飲ませてやったわ、それに予言もしてやったら大喜びで、泣いて出て行ったわよ、あたしの勝ちね」
「予言だって? 何を言ったんだい?」
娘が「予言」と言い出して驚く母。今まで香里の方は大した力も無く、秋子からも「悪巧み」と言われる程度の力しか無かったのに、当主を泣かせるほどの予言をしたと言った。
「ええ? クソババアを蹴り倒して踏んだら暴れたから、「このババアと娘は、これから無一文で追い出される」って予言して追い払ってやって、信じなかったから、「あたしがご褒美に百万円もらえる」って言ってやって、
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