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KANON 終わらない悪夢
138倉田家分家
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薬漬けにされて、栞が稼いだお金は全部巻き上げられる」
「何だとっ! 誰がそんな事を命じたっ! お前かっ?」
 怒って立ち上がり、女主人に向って扇子を投げる当主。女主人は怯えて平伏した。
「いえっ、そのような事は決して」
「まだよっ、聞きなさい。これから産まれるはずの「祐一様」との子供は流産、跡継ぎに自分の子供を送り込むために、あたし達はそいつの子供を妊娠させられる。そうなればこの子は生きていられない、何人か巻き添えにして、復讐してから自殺する」
「おのれええっ! 誰だっ? 知っているなら言えっ、わしの手で血祭りにあげてやるっ!」

 秋子が栞には言えなかった、耳を塞ぎたくなるような汚い未来は、姉には説明していたようで解決の目処が見えた。
 姉から見える未来のビジョンでは、自分は当主に対等に話すこともできず、言ったとしても信用されず、女主人に口を塞がれて折檻を受けるだけだったと見えた。
「女共も広間に集めろっ! その親も全員だっ!」
 また廊下で人が走り去る音が聞こえ、未来が変わって行く、香里はほんの少し油断した。
「秋子さんからの予言はここまでよ。ああ、もう一つあった、これは「指令」ね、すぐにこの家も何もかもあたしが分捕って、思い通りにしてやるわ、覚悟しなさいっ」
 当主を指差し、早速挑戦状を叩き付ける香里。天使の人形の分体が入った今、気の強さも回復して、目上の者にでも不遜な態度をとった。
「はははっ! 言いおったわ、良し、やってみろ、家ごと分捕ってみせろっ、流石わしの一族だ、気に入ったぞっ」

 予想通り、当主は姉のような気の強い女が大好きで、栞のような顎で使える奴隷タイプは嫌いなのが分かったが、そんな芝居はできないので気の強い役は姉に任せた。
「じゃあ四つ目、まだ懐の中にご褒美あるんでしょ? それをこっちに、あたしは栞と違って金持ちじゃないのよ」
 秋子の予言が終わり、香里の態度にも耐えられなくなったのか、女主人が駆け寄って、制止も聞かず香里に平手打ちをした。
 二発目以降は体力と反射神経の高い香里に阻まれ、取っ組み合いになった。
「何すんのよっ、クソババア」
「やめんかっ、まだ話は終わっておらんっ」
 体力勝負では香里が勝り、背の低い女主人を蹴り倒して、起き上がれないよう強めに踏み付けた。
「何をするかっ! この家の女主人である私に逆らって、この家で生きていけるとでも思うかっ!」
 ここで香里は、悪魔の微笑みで女主人を見下ろした。本日最大の目的を達成した後、頬を張られて怒った時に、魔物に変身した。
「あたしからも予言してあげるわ、この女とこいつの娘は、今日、無一文でこの家から放り出される。何をしたか知らないけど、この後宴会場で大恥をかかされて、無様に泣き喚いてるこいつの姿が見えるわ」
「放せっ! 放せっ
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