第6章:束の間の期間
第199話「集う者達」
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らね。……で、大門についてだけど……紫陽ちゃんが危惧していたような事は起きないと思う」
紫陽が言っていた事……つまり、現世と幽世の融合などの事だ。
「現状は、特に悪影響はないよ。……ただ、幽世の瘴気が少し漏れてる。そこまで濃くはないけど、対策もなしにここに近づく事は出来ないよ」
「と言う事は、一般人は近づけない……と言う程度か?」
「そうなるね」
それだけなら、大した事はないだろう。
むしろ、無闇に手を出されない利点もあった。
「利点は……現世も幽世も、お互いの世界の存在が介入しても、抑止力があまり働かなくなってる事だね」
「抑止……?それはどういう……?」
奏が詳しく尋ねる。今の言葉だけでは、分からないのも無理はない。
「具体的な事で例えるなら……幽世の存在……例えば私や……緋雪ちゃんとか。そんな存在が現世に滞在しやすくなるって所かな?」
「っ……!」
具体的な例をとこよが言う。
その中にあった、緋雪の名に優輝は僅かに反応する。
「(……やっぱり、雪ちゃんの事なら、優ちゃんの感情に揺さぶりを掛けられる……。再会出来たら、もしかして……)」
その反応を、葵は見逃さなかった。
やはり、優輝が大切にしていた緋雪ならばと、密かに期待が上がる。
「こうして、私がこっちに滞在するのも、本来は一日も持たないはず。だけど、今は最低でも一日は留まれるようになっているよ。それこそ、現世に結び付ける何かがあれば、ずっと現世にいる事も可能だね」
「結び付ける……縁とか、型紙……?」
「うん。……例えば、紫陽ちゃんなら、葉月ちゃん自身が縁のある存在だから、それを媒介して式姫として召喚出来るよ」
普通の式姫は、一度幽世に還ると式姫としての形を崩してしまう。
とこよの式姫だった者達は、幽世に還ると同時にとこよによって形を崩す事なく再び式姫として存在しているが、普通は式姫としての自我もなくなるのだ。
対し、とこよや紫陽、緋雪やその他流れ着いた人達は、確固たる形を保ったままだ。
形ない存在を型紙という“型”に嵌めて召喚する式姫と違い、形ある存在を幽世から現世……またはその逆に召喚する場合、何かしらの制限が付く。
大抵は力か時間に制限で、緋雪の場合は時間だった。
その制限が今は緩み、さらには強い縁がある存在を媒介すれば式姫と同じ条件で現世に留まる事が可能になっているのだ。
「会いたい時に会いやすくなるのね。……今の状況を考えると、戦力も増えて万々歳ね」
「……そっか。何か情報を掴んだんだね?最近の異常事態に関する」
「私が説明しましょう」
グランツ達に話したように、祈梨が説明する。
とこよは二つ返事で協力を了承
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