艦娘とスイーツと提督と・31
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〜扶桑:きな粉棒〜
「やりました提督、また赤いわ!」
「良かったなぁ扶桑。ほれ、もう一本だ」
俺が差し出した『それ』を受け取ると、嬉しそうに頬張る扶桑。ホワイトデーのお返しに入っている『スイーツチケット』、今年の第一号は不幸……じゃなかった、扶桑だった。普段から不幸だ不幸だと嘆いちゃいるが、たまにこういう幸運を引き当てたりする。そう考えると幸福と不幸は半々訪れるってのは案外間違ってないのかも知れん。
「やった!また当たったわ!」
まぁ、今扶桑が食ってる『きな粉棒』の爪楊枝は全部、俺と明石と妖精さん達で赤く塗って当たりにしてあるんだがな。
きな粉棒……当たりが付いてない奴もあるから正確には『棒つききな粉棒』とか『当たり付ききな粉棒』と呼ぶらしいが、駄菓子屋なんかでよく見るアレだ。水飴や蜂蜜を棒状に固めて、周りにきな粉をまぶした奴。そこに爪楊枝が刺さってて、先端が赤くなってると当たりで、店員さんに見せるともう1本貰えるってアレ。
「幾らでも作ってあるからな。好きなだけ食え」
「はい……夢の様です。一度体験してみたかったの、きな粉棒で当たりを引き続けるって」
「良かったなぁ、扶桑」
当たりしか入ってないんだから、当たり続けるのは当たり前の事なんだが。扶桑もいつもなら気付きそうな所だが、当たりが連チャンしている事に舞い上がっていて、作り手側の不正なんざ微塵も疑っていない。それに、調べてみたら当たり付きのきな粉棒に入っている当たりって5本に1本位の割合らしいからそんなに当たらないんだけどな、本当は。……でもなんでだろうな?あんなに当たりが入っている気がすんの。半分位は当たりじゃねぇかと思ってたぜ。
「私も山城も、ガリ〇リ君とかヤッ〇ーメンとか、当たり付きのお菓子をよく買うんです。でも、一度も当たった事が無くて……今、凄く楽しいです!」
「ガリガ〇君やらヤッター〇ンはともかく、10円ガムとかなら結構当たりが入っている気がするけどなぁ」
きな粉棒だって2割は当たる訳だし。
「……前に一度、きな粉棒を丸々一箱買ったことがありました。けど、不良品だったみたいで爪楊枝が全部色が付いてなくて」
しゅん、とする扶桑。
「いやそれ逆に幸運じゃね?」
「……そうですか?」
「そうだよ。今ならSNSとかに投稿したら滅茶苦茶盛り上がるネタだと思うぞ?それ」
「でも私、あまりそういうのに詳しくなくて……」
「まぁ、別にいいさ。今は食べたいだけきな粉棒を堪能するといい」
「はい、提督!」
扶桑は嬉しそうに、本当に嬉しそうに微笑んだ。
〜数十分後〜
「や……やめろ扶桑!もうやめるんだ!」
「いえ……提督。こんな体験、もう
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