62部分:六十二.延政門院
[8]前話 [2]次話
六十二.延政門院
六十二.延政門院
後嵯峨帝の皇女であられる延政門院がまだ初々しく可愛らしい娘さんであられた時のお話です。父君であられる帝が法皇になられていて座しておられる仙洞御所へ行く人にことづけとして詠まれた歌はこのようなものでした。
ふたつ文字 牛の角文字 直ぐな文字 歪み文字とぞ 君は覚ゆる
これは御父上を恋しく思う歌であります。
思えばこの方もかつてはこのような初々しくお茶目だった時もあります。女性の方は成長されると実にうるわしくもなりそうして心もしっかりとされていきますがこうして茶目っ気のある時もやはりあります。そのことは皇族の方でも同じでありましてこうした歌を詠まれたこともあるのです。確かに貴い方々でありますがそれでもこのようなことをされることもあるかと思いますと実に微笑ましいものであります。それでついついこのことを書いたわけでありますが書き終えてもどうにもこうにも微笑みというものが顔から出てしまいます。崩れてしまったこの表情のことはわかっておりますがそれでもなおそうとは思いません。皇室の方々にもこのような微笑ましいお話がある、そうしたことを知って身近に感じると共にそれでいてやはり敬愛の気持ちを抱いてしまうからです。だからこそ今こうして書き残した次第であります。皇室の方々もまた親子の絆がありそれに基いて愛情というものがあるのです。それがなければ何とも悲しいことでしょう。ですがあるからこそ尚更敬愛の情が浮かんでくるというものです。そのことは忘れてはなりませんし必ず覚えておかなければなりません。
延政門院 完
2009・6・17
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ