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徒然草
35部分:三十五.手のわろき

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三十五.手のわろき

三十五.手のわろき
 字を書くことが下手だからといっても何の遠慮もすることなくそれが当然であるかのように手紙を書き殴っているのは見ていてかえって清々しいものです。恥ずかしいからといって他人に書いてもらうというのは面倒臭いので個人的には嫌なのです。
 字はやはり奇麗に書けるに越したことはありませんがそれでもそれを恥ずかしいと思わずに堂々と書くことはいいことです。字は書かなくては値打ちがありませんしそして書いているうちに少しずつであってもやがて上手くなったりもするものです。他人に書いてもらうというのはやはりどうかと思います。それよりも堂々と前に出るようにして書いていく、それが一番であると思います。そしてこれは何も字を書くことだけに留まらず絵にしろ歌にしろ舞にしろ他のあらゆることにも言えることであるでしょう。とにかく何事もやってみないといけません。そうしてそれを続けていく。そうすれば何でも上手くなっていくものです。字が汚い、それを恥じることはありません。むしろそれを気にしてそのうえで書かない、これこそ恥じるものであります。とにかく書く、自分で書く、これであります。書かなければどうしようもありません。何でもやってみて続けないといけないのです。


手のわろき   完


                  2009・5・21

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