29部分:二十九.静かに
[8]前話 [2]次話
二十九.静かに
二十九.静かに
他の人が寝静まった後に夜が長いもので暇でしたから下らない今持っているものの整理整頓を行って恥ずかしい文章等を書いた紙を捨てるなどしていますと死んでしまったあの子が歌を書いたり絵などを書いて残していたのを見つけましてその時のことを思い出さずにはいられませんでした。
死んでしまった人は当然ですが長い間会っていない人の手紙等でこの手紙は何時何処でなどと思う位の古いものを目にしますと胸が熱くなってしまいます。書いたり作ったりしたものでなくとも死んでしまった人のお気に入りであった持ち物等が何となく今日まで残っていてここにあるのを見ていると切なくなってきます。
ふと目に入ってしまって見てしまうものでありますがそれが目に入るとどうしても。そうした切なさを感じずにはいられません。感じてしまうことを思いながらさらに深く思ってしまいます。それを止めることもまたできず切なさを募らせていくのです。一人になっている静かな夜に整理をしていると不意に出て来るものはいつもそうしたものです。何気なく出て来ているのに感じさせるものは深くて心に滲み入ってしまいます。それに悲しさせ感じてしまって心がいたたまれなくなります。けれど不思議なことに嫌な感じではなく何処か暖かくもなってしまう。そうした心の中でまた夜を過ごしてしまうのです。
静かに 完
2009・5・15
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ