暁 〜小説投稿サイト〜
徒然草
238部分:二百三十八.御随身近友
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
心しました。
 一つ。我が国の那蘭陀寺で道眼上人が有り難いお話をした時です。人の心を惑わせる八つの禍のお話をされたのですがそのうちの一つの禍を忘れてしまったようなので誰かこれを覚えている人はいないだろうかと言いました。弟子の中に言える人はなく草葉の陰からそこはこうだと言えば上人に褒めてもらいました。
 一つ。賢助僧正殿のお供として香水を玉に注ぐ儀式を見ていた時のことです。まだ儀式が終わっていないのに僧正殿は帰ってしまいました。塀の外にも見当たらず弟子の坊主達を引き返らさせて探しましたが皆同じ様な格好なので探し出せなくかなり時間がかかりました。困った、探してくれと言われて引き返して僧正殿を探し出してきました。
 一つ。二月十五日の釈尊が入滅した日のことです。月の明るい夜更けに千本釈迦堂にお参りに行き裏口から入って顔を隠してお経を聞いていました。いい香りのする美しい娘が来て膝に寄りかかって来るので移り香があればよくないと思い離れました。しかし娘はそれでも来て仕方なく退出しました。そんなことがあった後で昔からあるところで手伝いをしていた女は来て世間話のついでに色気のない詰まらない男だ、がっかりした、その冷たさに恨みを持っている人がいるなどというので何のことかわからないとだけ答えてそのままにしておきましt。あとで人から聞くとあの夜自分を草葉の陰から見て気になった人がいたようでお付の女を向かわせそれで近づけたそうです。頃合いを見計らってそれで言葉を伝えその様子を後で教えるように、これは面白いことだと言って試したそうであります。


御随身近友   完


                2010・1・7

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ