地を打つ大槌
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う言うと、ジンオウガの体から退きつつ口を縛っていた紐も解いた。
小さなジンオウガは、自由になるや否やすぐさま飛び起きて距離をとった。
「ウウウウウ〜〜〜〜」
唸り声を上げるが、子供相応でまったく迫力のない……寧ろ可愛気さえあるその光景に、神無は苦笑いするしかなかった。
流石に飛びついて可愛がるには危険な生き物だということは理解しているし、如何に小さくてもヴォルフより僅かに大きい。組み伏せられたのは彼だからだろう。
小さなジンオウガはこちらを注視しつつも怪我をした足をしきりに動かして、ちゃんと動くことが分かると直ぐに後退し、ある程度の距離を稼ぐとすぐに背を向けて走り出した。
「……行っちゃったね」
「野生の生き物はあんな物だ。余程の事がなければ他者に心を開くことはない」
ヴォルフはそう言いながら使ったものを鞄に詰めた。
「そろそろ行くぞ。ドボルベルクがいつ起きるか分からん」
その言葉で、神無は弾かれたようにドボルベルクを見るが、件の獣竜はまだ意識が戻らないのか地面に倒れ伏したままだ。時折声が漏れるものの、起きる気配が無い。
「うん。行こっか!」
ヴォルフは神無の言葉に頷くと、早足にその場を後にした。
目的地はまだ遠い。
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