地を打つ大槌
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眼前の砂埃を残らず吹き散らす。そしてその瞬間を駆け抜ける。
振り回される尾は確かに驚異だが、倒れ込むほど姿勢を低くして行けば頭上を通り過ぎるのみで当たることはない。
俺は空気抵抗の弱まった中を一気に突き抜け、左手を前に突き出して刀を持った右手を大きく引く構え……他者が見れば見えない弓に刀を番えているかのような構えを取り、奴の足元に肉薄しようとする直前で一気に踏み込み、その踏み込みから伝わる力を腰、肩、腕、手首の全ての動きを同一にして――――――
「突き穿つは疾風の一矢」
―――――――奴の左足の膝の下にある逆関節部へと刀を突き刺した。
肉を容易すく貫く感覚。刀身は切っ先から一息に鍔元まで突き刺さった。
「グモオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッッッ!!!!!?????」
如何に鈍そうなコイツでも、自身を支える足の片方を串刺しにされかけたのは相当に応えたらしい。
それでも俺を巻き込むように身を傾けて倒れ込もうとするだけの余力はあったらしい。尤も、俺は奴が体を傾ける前には刀を引き抜いて距離を取っていたので間に合わなかったが。
「フッ!」
そして倒れ込んだドボルベルクに飛び乗り、?くその体の上を駆け抜ける。目指すは奴の頭だ。
背中のコブを破壊するのも手だが、水分と脂肪が凝縮されたアレを破壊するのはコイツの生き死にに関わり兼ねない。後の事はともかく、俺はコイツを殺す気はないが故に。
頭頂部に辿り着こうとした所で奴は身を起こすが、俺は自身を錐揉みさせるように跳びながら鞘を腰から抜き放ち――――――
「汝、打つは雷霆と―――――――」
頭頂部への着地と共に、遠心力の加わった鞘の先を奴の頭に叩き付けた。
俺の刀の鞘は、刀よりも一尺程長く作られており、その長い部分は空洞になっておらず素材その物であるカブレライト鋼の塊となっており、鈍器として成り立つものだ。
そして、鞘が奴の頭に鈍い音と共にめり込んだ所で、鞘から手を放して更にもう一度垂直に跳び、刃を返した峰打ちの一撃を、落下と共に――――――
「――――――祖の轟也!」
――――――大上段から、奴の頭にめり込んだ鞘の先端部へ叩き付けた。
「ググググ……モオオオオオオオオォォォォォ……っ」
間髪入れない二連打撃の齎した衝撃が頭の仲間で揺さぶられたドボルベルクは、苦悶の声を漏らしながら二、三歩ふらついた所でバランスを崩し倒れ込んだ。
「グ……モォォォ……ゥゥゥゥ……」
脳震盪をおこしたドボルベルクは呻き声を上げるだけで起き上がろうとしない。
「しばらく寝ていろ。その間に喰われるか否かはお前の運次第だ」
俺はそう呟くと刀を鞘に収め、ドボルベルクが叩いてい
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