地を打つ大槌
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重差は比べるまでもないが、先端に重石のある尾を持ち上げようとする行動に、真横から別の大きな衝撃を加えればバランスは崩れる。
その結果、ドボルベルクは自身の尾に振り回される形で体制を崩す。痛みで尾をしばらくは使用不能に出来るか、と冗談でもあり得なさそうな期待をしてみるが……直ぐに持ち直して俺を正面から見据えてくる辺り、望み薄だったらしい。
陰気な目だが、濁った目により力が込められたのが見て取れた。一応、それなりに堪えてはいたようだな。自分より遥かに小さい俺の攻撃で体制を崩すなど、経験のしようが無いはずだ。
「グモオオオオオオオォォォッッッ!!」
咆哮を上げた。あまりの大音量で大地が振動しているほどだ。
奴は顔を地面に向けると角の先端部を地に付けて――――――地を掘り起こしながら突進を繰り出してきた。
だが……
「遅い」
そう、遅い。モノブロスはおろかディアブロスとの戦闘経験のある俺にはそれはあまりにも遅い。
確かに並のハンターなら逃げるしかない。しかし速度がそこまで早くない事もあって対象を追尾することも容易であり、完全に軌道の外に逃れることが出来なければ、何れは息を切らして減速する敵をその怪力で薙ぎ倒すなり踏み潰すなり容易なことだろう。
だが、俺は奴の角をそのまま足場にしてその体の上へと飛び乗り、二つのコブの谷間へと狙いを定め抜刀した。
壱撃、弐撃、参撃、肆撃、伍撃、陸撃、漆撃、捌撃、玖激、拾撃……と、全ての斬撃を一ミリたりともずらさずに切りつける。瞬く間に傷は深くなり、拾撃目には鮮血が吹き出した。
「グムオオオオオオオオォォォォウウウウウウゥゥゥゥッッッ!」
流石に急所に近い部位への攻撃は堪えたのか、ドボルベルクは体を大きく揺さ振って俺を振り下ろしに掛かる。
しかし、俺は既に奴の体から降りて距離を取っていた。体を揺さぶっていたドボルベルクもすぐにそれに気付いたようだ。
「グモオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!!!」
咆哮と共に尾を振り回し――――――ドボルベルク自身も旋回を始めた。遠心力が乗って尾は宙に浮かんでいる。足元も最初こそ旋回行動の為に動いていたが、今は独楽のように回っている自身のごとく、地面に接する部分を少なくするのみで動きを止めていた。
ドボルベルクの最大の攻撃である、自身の武器である尾を用いた大回転。
回転の度に速度は増して行き、砂埃が宙に巻き上げられ、その量は徐々に増えて行っている。
そうして相手の視界を塞いだ所で……生憎と、俺はこの続きを知っている為、ワザワザその先にある最強の一撃を繰り出させてやりはしない。早急にケリを付けさせて貰う。
巻き上げられた砂埃の向こうにいるドボルベルクを見て居合の構えを取った。
抜刀する。抜き放たれた刃が巻き起こす剣圧が、
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