開戦!二極戦線オケアノス
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に槍を旋回させて風の呪詛を払い、一撃が通らない。そのまま剣弾も悉く払い落とし、槍を回転させた勢いを殺さず黒弓を握る弓兵へと投擲した。
咄嗟に黒弓を破棄し双剣を投影したエミヤは極槍を防ぐ。真名解放せず、予備動作もない、威力の低いはずの投槍は、しかし鉄壁を誇るエミヤをマストの上から叩き落とした。
しかし極槍を投げ放ったヘクトールは徒手空拳である。部下を下がらせた女海賊フランシス・ドレイクが、二挺の拳銃を以て銃撃を撃ち込む。確実に的中させられる、その確信は――しかし神々の予測すら容易に裏切り、あわや勝利の寸前まで祖国を導いた英雄に阻まれる。
具現化する輝く兜の偉容。頭部を覆い、その身を固めるのは黄金の鎧だ。パトロクロスを討ち取り、戦利品として獲得した『アキレウスの鎧』である。エミヤを甲板に落とし、虚空に在った極槍が落下してくるのを掴み取ると、大英雄は微塵の己を囲む二騎と一人を見据えた。残留霊基とは思えぬ、測り知れぬ威圧感に戦慄が過る。
「――」
そして。
それぞれがそれぞれの敵手と相対する中、英雄船に切り込んだのは冬木三騎士。
ブリテンの騎士王、アルトリア・ペンドラゴンの反転存在。攻撃力の一点ならば青き騎士王をも上回る暴竜の化身。
アイルランドの光の御子、クー・フーリンの全盛足る姿。生前の力に限りなく近い光輝の英雄。
錬鉄の英雄その人でありながら別人であり、英霊ですらなく生身の人間でありながら、誰しもが認める鉄心、衛宮士郎。
対するはギリシャ神話最大にして最強の英雄、ヘラクレス。その反転存在であるアルケイデスはしかし、その身の丈を半神ヘラクレスに並ぶ程に膨れ上がらせ、痩せていた五体には強靭な筋肉の鎧が纏われていた。
発する力の武威は『神の栄光』にも劣らない。霊基が損壊していながら存在の劣化は見られず、寧ろ増大すらしているではないか。漲る覇気は純化され、背後の友の亡骸を護るようにして立ちはだかっていた。
ヘラクレスなのか、アルケイデスなのか。判じる術はない。ただその手にあるのは弓ではなかった。魔大剣でもなく、在るのは――柱のような巨槍である。オルタが油断の欠片もなく警告する。
「気を付けろランサー。あれは――最果ての槍だ。西の世界の果てとされた『ヘラクレスの柱』だろう。……シロウ、」
「分かっている。メディアとイアソンに邪魔されるのは面白くない。確実にいく」
迸る魔力はカルデアからの供給である。彼の改造した戦闘服、ダ・ヴィンチの発明した射籠手より、士郎はマスターの身でありながら潤沢な魔力を得られていた。
故に最大且つ最強の敵を戦場から切り離し、隔離する一手を躊躇いなく打つ。己へ掛かる負荷など度外視してでも。
そしてそれを止める者などこの大敵を前に
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