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人理を守れ、エミヤさん!
開戦!二極戦線オケアノス
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に伝わる無念と猛り。死してなお、消える事のない怨嗟と慟哭。死してなお護ろうと奮い立つ雷光の巨力にマシュもまた応じた。

「負け、ない……! 私は……絶対負けないッ」

 一歩も退かぬと足に根を張り、濁流の如く振り掛かられる双巨斧の乱打を捌き、逸らし、打ち返す。切り結ぶ両雄の剣戟は莫大な衝撃の坩堝を生み、足場の甲板が軋み、ひび割れる。
 必死に護ろうと怨嗟する怪物。必死に護ろうと奮起する少女。桁外れの怪力にマシュの手が痺れる、マシュの顔が苦痛に歪む。されど退かぬ、絶対に退けない。幼子のように狂い哭く怪物の、怒濤の連撃は加速する。ネロが『原初の火』を振りかざし踏み込んだ。神祖に与えられたが故に保有するスキル『皇帝特権』による剣術の取得、達人に迫る剣撃が怪物を痛打した。
 苦悶しながらも怯まずに応じる雷光が悲憤に猛る。「■■■■■■――!!」だが薔薇の麗人は雪花の楯に微笑みかけた。「そなたは一人ではない、共に守り合いこの敵を制覇してくれよう!」マシュは汗を浮かべながらも安堵も露に頷いた。心強い仲間だ。

 ――英雄船より『兜輝くヘクトール』が降り立った。

 はためく深紅のマント、油断なく携えられた極槍、表情のない瞳。狙いは護る者のいない聖杯の嬰児だ。毅然と己を睨み付ける彼女に向け遊びのない槍の煌めきが照準される。――そこに飛来する剣弾の霰。己の五体を針鼠とする剣弾を、彼は無造作に振るった極槍で撃ち落とす。
 ちらりと視線が黄金の鹿号に向く。マストの上に立ち己を視る鷹の目と視線が絡み合った。射撃の精度、威力、数。それらから下手に聖杯の嬰児を狙えば鷹に啄まれるのは己だと理解した大英雄が跳躍した。槍兵の座に恥じぬ軽やかな体捌きを以て、大英雄の残骸が黄金の鹿号に移動する。

「――いきます! 一合、二合、大・天・罰! これが私の、奥の手です! 弁明無用、浮・気・撲・滅っ! またの名を、一夫多妻去勢拳!」

 応じて踏み込んだのは慮外のサーヴァント、玉藻の前。魔術師の座にあるまじき近接への挑戦。執拗なまでの蹴撃は、されど悉く防がれ、透かされ、逸らされた。反撃の極槍が唸る、絶死の黄閃は一撃で巫女を殺すだろう。咄嗟に玉藻の前は自らの手に呪を纏い受け止めた。
 呪層・黒天洞、防御の要。しかし玉藻の前は戦士に非ず、卓越した槍の閃光は二回辛うじて凌いだ玉藻の前の防禦を破り、両手が上方に弾かれ無防備な胴を晒してしまう。ぎくりと硬直する玉藻の前を屠らんと極槍が唸り、させじと剣弾が飛来する。
 弓兵が一喝した。

「戯け! 何をしている!? 早く下がれ、キャスター!」
「言われずとも! ……えーん! そういえばこの方、押しも押されぬ愛妻家でした!」

 飛び退き様に放たれるは呪相・密天。圧縮された風の弾丸がヘクトールに殺到する。ヘクトールは瞬時
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