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人理を守れ、エミヤさん!
涙を誘われる士郎くん!
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王だって事は余り気にしなくていいよ。……いや寧ろ気にしないでほしい。サーヴァントである時ぐらいは、羊飼いの気持ちでいたいんだ……」
「なるほど。了解した。それで早速で悪いが、俺達の仲間になってくれないか?」
「うん、それは無理だね」
「……」

 ですよねー。

「僕だって聖人君子じゃない。全てを水に流して許せる訳じゃないんだ。ああ責める気はないよ? 彼女が君や彼女のマスターの指示で僕の僕に攻撃した訳じゃないのは分かる。けどね、彼女を視界に入れたら縮み上がって動けなくなるよ、絶対。うん、僕はやる、かなりやるけど、そんなんじゃあの化け物みたいな奴との戦いでは足手まといにしかならないよ」
「……まあ、無理強いはしないが」
「それに現実問題として、僕は前線に出ない方が絶対にいい。僕の宝具や敵の目的にも繋がるからね」
「! 敵の目的だって? 知ってるのか」

 まあね、とダビデは頷く。教えてくれと頼むと彼は勿体ぶるでもなくあっさり告げた。
 彼の宝具、『契約の箱』について。それは実体化したままで、霊体化せず、ダビデが死んでも所有者が代わっていれば現世に留まり続ける。そしてこれに神霊を生け贄に捧げると、周囲一帯が消し飛ばされ、人理定礎があやふやな特異点でそれが起こると、人理焼却の完遂を待たずしてこの時代の人類史が復元不能となるらしい。
 そして既に敵は神霊を捕獲している。この宝具を奪われる事は、即ちカルデアの敗北に直結するのだ。

「最初はアルカディアの狩人と潜んでいたんだけどね、月女神を殺したと挑発してきたヘラクレス擬きに彼女は殺されてしまった……。彼の挑発は悪辣で、他の女神も捕らえて地獄の苦しみを与えたと言っていたから――彼女も冷静さを失っていたよ。僕も怒りを覚えたけど、流石に勝てる気がしなくて、僕は最後まで隠れていた。ヘラクレス擬きが辺りを薙ぎ払ってしまって隠れる場所がなかったから、海に潜ってね。そうして僕は、海を泳いで――まあ神に身を任せてこの小島まで流れ着いたんだ」
「……賢明な決断を下してくれたんだな。ありがとうお前のお蔭でまだ取り返しはつく」
「いいよ別に。元はといえば僕が召喚されてしまったのがいけないんだし。不可抗力なんだけどね。と、そんな訳で僕は君達とは行けない。『契約の箱』を守って隠れておくよ」
「分かった。次で決着をつけるつもりでいる、それまで辛抱してくれ」
「そうするよ。頑張ってくれ、僕の分も。何、君達は見たところ戦力は充実してる。僕の力を宛にしなくともやれるはずだ」

 そう言って本来の調子を取り戻したダビデに、士郎はホッとした。正直な話、問答無用で険悪に別れられても文句は言えない立場だったのだ。
 士郎としては彼と、極めて合理的で理性的な話が出来た事を喜びたい。それに『契約の箱』か。ヘラクレス野
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