暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
大・天・罰!戦慄する士郎くん!
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少しでも報いないとな」
「は――オレのじゃねぇが、いい女にウマイ飯、極楽の酒に頼れる仲間、んで最高の戦場に最高のマスターがいんだ。オレは充分報われてるし満足してるぜ。オレにとっちゃ最高にホワイトな職場だ」
「ホワイトの定義が乱れたぞ今。なあランサー、それなら人理修復の戦いが終わったら、受肉して俺と来ないか? 死徒殲滅に力を貸してくれ。化け物退治はお手のものだろ?」
「仕事が終わった後の福利厚生までついてやがんのか。いいねぇ、オレでいいなら付き合うぜ」
「ッ、シャァッッッ!!」

 渾身のガッツポーズ。死徒殲滅編完! 衛宮士郎の次の活躍にご期待ください!
 もう勝ったな飯食ってくる。ガッツポーズをした俺に苦笑いするクー・フーリンから離れ、ガツガツと飯を食らっていく荒くれどもを見る。
 神話の戦いを間近で感じ、命の危機に瀕した後の飯だ。そしてこの時代では旨すぎる酒と飯、ご機嫌である。黒髭は『黄金の鹿号』のクルー達に混ざってビールのジョッキ片手に、豪快に大笑いしていた。ドレイクと肩を組んで海の歌などを下手くそに歌っている。だが聞いていると陽気な気分に――と、ネロが釣られて歌い出そうとするのを、俺は瞬時に止めた。飲酒の後の歌は美声を損なうぞ! と久し振りに純度百パーセントの嘘を言ってしまった。が、後悔はない。俺は犠牲になるのだ、犠牲の犠牲にな……。

 さておきアルトリアやオルタも、マシュも皆美味しそうに食ってくれて嬉しいものだ。アイリスフィールはお上品に食べながら、微笑ましげに皆を見守っている。うん、流石は義母殿。母性が違いますよ。いつの間にか海賊達に混ざり、「僕はやるよ、かなりやる」とか言いながらビールを飲む青年がいるが気にしない。

 ……ん? 今変なのいなかったか?

「ああ、アビシャグが沢山いる! 酔いが回ったのかな? 和服の彼女も、けしからん格好の白い彼女も! 騎士っぽい少女達も! 華やかな黄金の髪の乙女も! 皆素敵だ!」

 うっとりとしながら口説き回る緑髪の野郎。
 ……うん、幻覚じゃないな。……なんだアイツ。ふざけてるのか? とりあえず取り押さえさせるかと誰かに指示を出そうとして――不意に玉藻の前が問い掛けた。

「あのぉ〜……つかぬ事をお伺いしますが、貴方はどちらさまで?」
「おや、なんだいアビシャグ。僕が分からないのかい? ああ、君は僕が老年の頃の妻だからね、今の私は若いから気づかなかったのか。僕だよ、ダビデだ。僕はブヒるよ、かなりブヒる」
「あ、そうですか……ところで貴方、何人口説きました、今?」
「え? えぇと……君に白いアビシャグに青と黒と白のアビシャグ、そして楯のアビシャグだけど……?」
「……うふ。うふふ……!」

 ――瞬間。世界から音が消えた。正確には玉藻の前の周囲以外の音が。

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