幕間「仕掛けは大詰め」
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沈めてお宝奪っちゃいますぞwww」
「いいねぇ……エミヤっていったっけ? アンタ人を乗せるのが上手いじゃないのさ。アタシとした事が滾って来ちまったよ……!」
苦笑して士郎はドレイクの熱視線を受け止める。たじろぎもしない不動の姿は、海賊からしても好感を持てるものらしかった。
「さて。残りだが、マシュ以外は全員ネロの指揮に従ってくれ」
「む? シェロはどうするのだ?」
「俺はランサーのバックアップだ。信頼してるし任せているが――ああいう手合いには、最大限の警戒を重ねる主義だ」
士郎の断固とした決定の表と裏には、アルケイデスへの厳重な警戒心がびっしりと敷き詰められている。それ程までに彼はアルケイデスを――ヘラクレスを畏れていたのだ。
一回目の交戦時はいい。だが先刻の戦いでは、仕留めきれると思ったのだ。策が完全に嵌まり、二振りの聖剣と、魔槍が放たれたのである。当初は手札を削る、明かし切るのが目的だったが、それ以上は出来たはずで。あそこから逃がす羽目になった時点で、士郎はアルケイデスは絶対確実に倒さねばならないと確信したのだ。
野放しには出来ない――そんな危険性がある。士郎の言に一同は頷いた。そして、ふと。
くぅ、と可愛らしい音がする。
おやと全員が音源を探すと、顔を真っ赤にして俯いたマシュがいた。士郎は微笑み、ドレイクに言う。
「あの小島に行って、飯にしよう。腹が減っては戦は出来ない、ってな」
――完全に敗北した。完膚なきまでに敗れ去った。
アルケイデスは己の状態を確認するも、暗澹たる有り様である。
宝具『十二の栄光』は破綻した。第五試練の水の理を操る力も、死地よりの離脱を経て全ての力を出し切ってしまった。
残されたのはネメアの獅子の裘と、ヒュドラの毒だけだ。これでは単身で挑むのは自殺行為でしかない。牝鹿という脚もなくなった。聖杯はアルケイデスの肉体は癒すが、その宝具までは回復出来なかった。これ以上は流石に、仲間が必要である。
アルケイデスは霊体化して海の上を彷徨う。亡霊のように。そうしてアルゴー号へ帰還したアルケイデスは、仲間達と共に決戦に赴くべきだと考える。
問題は、あの偏屈な男をどう説得し、イアソンを動かすかだが――暫く考えを纏めていると、アルケイデスはふと気配を感じて振り返った。
「――ようやく帰ったか、イアソン。待ちくたびれたぞ」
斜に構えた金髪の優男が嗤う。おいおいどうした最強、と。それでも■■■■■か、と。アルケイデスも苦笑して己の様を笑った。
ああ、ここまでしてやられて黙っていられるものか。反撃といこう。後は『契約の箱』を手に入れるだけなのだから――
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