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人理を守れ、エミヤさん!
幕間「仕掛けは大詰め」
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ロにとっては。難しい顔をするネロに、士郎は重苦しく言う。

「……切り替えろ、なんて簡単には言わない。だがアタランテに自責の念を懐かせたまま、俺達が負ける訳にはいかないだろう。人理修復はまだ途上だ。また次にでもアタランテに力を借りよう」
「分かっておる。分かってはいるのだ。……しかし、今少し上手く余の気持ちを伝えられていれば……アタランテは残ってくれたのではないか? そう思うとな……」
「何引き摺ってんのwww 今は消えた奴の事よりこれからの事だと拙者は思うでがんすwww」
「くっ――黒髭ッ!」

 ふざけたように混ぜっ返す黒髭に、ネロは目を剥いて怒りを露にした。だが黒髭は堪えた素振りもなしに平然と続ける。

「ぶっちゃけあの女の言う通りだ。役に立たねぇよ森の狩人は。海の上で必要なのは脚の速さでも弓の腕でもねぇ、冷酷に冷徹に立ち回れる胆なんだよ。それが敵一人のせいで持てないってんなら邪魔だから消えてろ――ってのが拙者の忌憚のない意見ですデュフwww」
「黒、髭ぇ……! 貴様……!」
「よせ、ネロ」
「シェロ! この男はアタランテを侮辱したのだぞ! 黙っていられるか!?」

 巨漢の海賊に食って掛かろうとするネロの前に腕を伸ばし、士郎が止める。それにネロは顔を赤くして反駁した。しかし、士郎は首を横に振る。ますます怒りを強めるネロへ、『黄金の鹿号』のドレイクが気まずそうに言った。

「あー……ちょっといいかい? アタシはアンタらとは知り合ったばかりだからね、なんとも言いがたいんだけどさ、その海賊の言う事にも一理はあるんじゃないか? 今は消えた奴より今後の事を話そうじゃないのさ」
「くっ……! ……そう、だな。その通りだ……」

 完全な第三者の視点から言われ、ネロは怒りを呑み込んだ。世界の中心だったローマ帝国の皇帝だった女だ、癇癪さえ抑えられれば物の道理は弁えられる。
 鎮静化された空気は、電撃の余韻があるように刺々しい。マシュが居心地悪そうに身動ぎする。士郎が手を叩いて空気を入れ換えた。

「敵戦力の分析を行う」

 異論はないかそれぞれの顔を見渡し、何かあればすぐに言ってくれと身振りで促した。
 何もないようなので士郎は人差し指を立てる。

「――復讐者のサーヴァント、真名をアルケイデス。この男の宝具は十二の功業に纏わるものだ。異なる見解はないな?」
「はい、先輩。ですが彼はそれ以外にも宝具があるようです」
「そうだな。奴の使っていた大剣がそれだ。銘はマルミアドワーズ。逸話によるが伝説の聖剣エクスカリバーよりも格上の剣だ。尤も、エクスカリバーが最強の聖剣である以上、それよりも上というのは誇張だろうが――担い手がヘラクレスではなくアルケイデスだからその力を発揮できていない可能性はある。……奴はそれをラン
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