第6章:束の間の期間
第198話「繋がる世界」
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本当ならば嘘だと笑い飛ばしたい。
しかし、見方を変えると嘘と断じれないのだ。
「……私より、遥かに経験のある貴女達が言うのなら、本当なんでしょうね」
「残念ながら、ね」
澄紀も信じられない気持ちの方が強い。
実際、今この場にいる三人と現当主以外の退魔師は嘘だと思っていた。
澄紀が抑えているため言葉にしていないものの、葵に対して侮り、嘲るような視線を向けている者さえいた。
「……ねぇ、澄紀ちゃん」
「悪いわね。後で言い聞かせるわ」
なお、その事に気付かない程澄紀は鈍感ではなかった。
大門の件を経て成長した澄紀は、今もなお実力を伸ばしている。
また、澄姫の憑依もあったため、そう言った悪意には鋭くなっていた。
「……分家の者と、式姫……そして澄紀以外の者は退室せよ」
「っ、当主様!?」
「二度は言わせんぞ」
そこで現当主が一言放ち、葵達以外を退室させた。
渋った者もいたが、当主には逆らえなかったようだ。
「おおー、さすがは現当主だね」
「世辞はいい。実力はもう澄紀にも追い抜かれているのでな。当主の座も今回の話がなければ澄紀に譲っていた」
「お父様!?」
まさかの引退発言に、澄紀も驚く。
大門が開いていた時、澄紀とは別行動で裏で活躍していた。
しかし、彼の実力も今この場にいる中では最低だ。
カリスマ性こそ澄紀の遥か上を行くが、実力不足を彼は感じていた。
「話の続きといこう。式姫の者よ、詳しく聞かせてくれ」
「……いいよ。あたしも、聞いただけだけどね」
詳しく話を聞こうと、当主は葵に催促する。
そして、葵が話そうとして……。
「すまんがどいてくれ!火急伝える事がある!」
慌てるような声が聞こえてきた。
退室した者達を?き分けるように声の主は近づいてくる。
「当主殿!」
「鞍馬か、どうした?」
声の主は鞍馬だった。
彼女は非常に慌てた様子で、急いで来たことが誰の目にも見て取れた。
「……幽世の大門に、異変が」
「っ、なんですって!?」
その言葉に、当主よりも先に鈴が反応した。
「二人も来ていたのか……いや、それよりも……!」
「大門がどうしたの!?」
鈴と葵がいる事に鞍馬は多少驚くが、それよりも伝える事を優先する。
「何と言うべきか……“門”ではなく、一つの“道”となったと言うか……」
「……“道”……?まさか……!」
要領を得ない鞍馬の言葉に、ほぼ全員が首を傾げた。
だが、以前に調査をした鈴は、すぐに何のことか理解出来た。
「……有り体に言えば、現世と幽
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