第6章:束の間の期間
第198話「繋がる世界」
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
界の法則が歪んだ事で、過去に関わりがあったこのエルトリアが時空間を漂流したと言う事も説明した。
「……俄かには信じられない。けど、時空間の歪みを見る限り、過去から未来へ干渉を行った事が影響しているのは間違いない……」
「……私達がエルトリアに行ったから、ですか」
大体とはいえ、事情を聞いてユーリは少し落ち込む。
自分達が来た影響なのだから、思うところがあるのも仕方ない。
「ユーリさん。気に病む必要はありません。むしろ、関わりがあったからこそ、今こうして再会出来ているのですから」
そんなユーリを慰めるためか、祈梨が話しかける。
「現在の優輝さん達がいる地球から特異点となり始めた時点で、可能性世界である“未来”は全て切り捨てられてしまいます。ユーリさん達が未来へ行っていたからこそ、エルトリアはこの時間からの“未来の可能性”として切り捨てられずに済んだのですから」
「……なるほど。エルトリア以外が観測出来なくなったのは、エルトリアが他の世界から切り離された訳じゃなく……」
「はい。その逆です。エルトリア以外が、消失したのです」
グランツ達は、エルトリアが突然時空間を漂流する事になったと思っていた。
だが、実際はエルトリア以外の世界が消滅したのだった。
その結果、エルトリアは一人ぼっちの世界となり、時空間を漂流していたのだ。
「……なんとも、軽く流せない情報ばかりだ」
「必要であれば、もう少し詳しく話しますが?」
「そうするとしよう。ただ、続きはシュテル達が戻ってきてからで頼むよ」
「分かりました」
話は続く。グランツも一人の研究者なため、もっと情報を求めていた。
「……また、大事ね……」
「でも、今度は誰も逃げる事は出来ないよ」
「そのようね」
一方。京都の土御門家。
そこには、葵の姿があった。
「一大事も一大事。正直壮大過ぎて実感がないのだけどね。貴女がそんな真剣な顔で嘘を吐くなんてないだろうしね」
「そうかな?かやちゃん相手なら嘘もつくよ?」
「その時はいつもの笑顔でしょう。でも、今の貴女はこれ以上ない程に真剣。とこよがいなくなった直後のようにね」
次期当主の澄紀や土御門家に滞在している式姫の他に、鈴もいた。
彼女は本来まださざなみ寮に滞在しているのだが、葵の話を聞いてそのまま土御門家までついてきていたのだった。
「あたしも正直信じたくない。荒唐無稽だし、信じる証拠も少ない。……でも、“嘘”と思うには、あまりに壮大過ぎる」
「そうね。そんな嘘を言うなら、もっと信じやすい事を言うわ。……その点から見たら、それが真実と認める他、ない」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ