第6章:束の間の期間
第198話「繋がる世界」
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。と言う事自体はない訳ではない。
他世界の様子を見るため、その世界の存在に転生する事はある。
だが、その場合は記憶も力もそのままだ。
奏やなのはのように、転生体の自覚がない事はない。
その世界に合わせて力が削がれることはあっても、そのような事は起きないのだ。
「一応、その唯一一度起きた転生が、今の奏さんとなのはさんになっているというのは分かっています。……しかし、その転生はもはや転生とは言えない事例なので……」
「どういう事だ?」
「ほぼ力尽きて消滅したも同然だったからです。主である神の後を追うように……。ですから、お二人を見つけるまで、私も転生しているとは思っていませんでしたから」
以前にあった神界の戦いで、その“天使”二人は力を使い果たしていた。
そして、主である神が消滅し、その後を追うように“天使”二人も消えたのだ。
普段の“天使”の転生と違い、消滅してしまったので、祈梨も予測出来ていなかった。
「現在、お二人に関して全て分かっている訳ではありません。“天使”は理力で構成された存在ですので、神界との戦いで目覚めるかもしれないと……」
「それで、懸念していたのか」
「はい」
納得の行く理由だった。
祈梨にすら、先が分からないのだ。
気にしてもおかしくはない事だった。
「次は……司さんに関する事ですね。……と言っても、単純に私が司さんを転生させたために、気にしていただけですが……」
「司が似ているのも関係しているだろう?」
「気づいていましたか」
祈梨の言葉をさらに切り込んでいく優輝。
祈梨が目を覚ます前、司が祈梨に似ていると気づいた時点で、優輝だけでなくその場にいた全員が、祈梨と何か関係があるとは思っていた。
そのため、今優輝が踏み込んで尋ねていた。
「ただ容姿が似ている訳じゃない。雰囲気……それも、天巫女として似ていると思っていたからな。それに、司の祈りに反応して目を覚ましたしな」
「はい。天巫女の力は私の神としての力に似ています。……その事も気にしていた理由の一つですね。尤も、一番大きいのはやはり私が転生させたためですが」
「そうか……」
大した理由ではなかった。
ただ単に、司が自分に似ている要素があったために、気にしていただけだった。
優輝が深読みしすぎただけに過ぎなかったのだ。
「最後に、貴方に視線を向けていた訳ですが……」
「………」
改めて祈梨と向き直り、優輝は言葉を待つ。
「貴方に“可能性”を感じた。それが理由です」
「“可能性”……か」
前者二つの理由と違い、一言。
あまりに簡潔に纏められた理由だったが、それ故に優輝はそれだけではないと、その“可
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