「封鎖戦域クイーンアンズ・リベンジ」
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がぁっ!?」
アルケイデスの掌が、細いアタランテの頸を鷲掴みにする。どんなに暴れても、まるで意味がない。ぴくりともさせられない。アルケイデスは魔大剣をアタランテの心臓よりややずらして突き刺し致命傷を与える。即死をさせるほどではない。
ごぶ、と血を吐いたアタランテを楯にアルケイデスが突進する。クー・フーリンに対する楯。光の御子は盛大に舌打ちし、なんとか阻もうとするもアタランテが邪魔でアルケイデスを攻撃できない。オルタもまた、神気を纏ったマルミアドワーズの薙ぎ払いに襲われ、辛うじて躱すのが精一杯だった。
「貴様ッ!」
アルトリアが聖剣を構え、余りにも非道なやり口に義憤に駆られる。クー・フーリンがやむを得ない判断として、アタランテごとアルケイデスを穿たんとするのを察知した復讐者は、クー・フーリンに向けて無造作にアタランテを投げつけた。
光の御子は咄嗟に抱き止める事をせず、横っ飛びに回避したものの――そのクー・フーリンに、アルケイデスは健在だった『ステュムパリデスの鳥』を放つ。青銅の矢が変化したそれは、矢避けの加護を持つクー・フーリンをして手間取らせた。
だがそれを破壊するのに五秒と掛かるまい。ほんの一時のみの時間稼ぎで十分で――そしてそれは、風の砲弾を今に放たんとする蒼き騎士王にも言えた事だ。
「凌ぎ切るか、それとも死ぬか? 射殺す百頭」
「は――ァアアア!」
迫り来る九連撃。己を木っ端微塵に変える死の乱舞に、アルトリアは欠片も怯まず迎撃した。全身に風を纏い、黄金に煌めく聖剣を叩きつけたのだ。真名解放に準じる極撃は、辛うじてアルケイデスの奥義を相殺する。――だがそれだけだ。
腕が痺れ、足が止まった。その眼前を悠々と駆け抜けるアヴェンジャーを止める事が出来ない。
残るは、錬鉄の騎士。だが距離は三歩遠い。アルケイデスの疾走を止められない。楯の少女。それはネロの傍に立っている。間に合わない。黒髭と聖杯の嬰児、和装の女は士郎を守るようにして立っていた。
守るがいいとも。海賊も聖杯も、和装の女もカルデアのマスターも、余さず標的に過ぎない。
彼らは死ぬだろう、魔大剣に充填された魔力が解放され、彼の奥義と掛け合わされたそれは、真名解放された聖剣の一撃をも相殺してのけたのだから。
「先輩っ!」
楯の少女が悲鳴を上げる。迫る死の運命を覆せる者など此処にはいない――
いや、いる。此処にいた。
「――タマさん」
「はーい♪ 良妻ですもの、節約節約♪」
呪術が解かれる。士郎を呪っていた呪詛が解除された。
「な――」
アルケイデスは驚愕する。男が威風堂々と立っていた。なんだと? 莫迦な――混乱が思考に混じる。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ