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人理を守れ、エミヤさん!
「封鎖戦域クイーンアンズ・リベンジ」
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ィアの狩人もいた。カルデアのお前ではなく、カウンターとしてのお前が。アレも今のお前と同じ顔をしたぞ。そして、私がどうしたか分かるか? 確か……お前にはアルテミスへの誓いがあったはずだな?」
「――アルケイデスぅぅウウウッッッ!!」

 激昂した。

 アタランテは常の冷静な、冷徹な狩人としての自制を全て焼き切られて疾走する。嘗て感じた事のない憎悪に魂魄が焼かれるようだった。
 彼女の中で、ヘラクレスとアルケイデスを結ぶ等号が完全に消える。あの怪物じみた大英雄がそんな事をするはずがないと知っていたから――彼女の畏れる英雄と、この鬼畜外道が完全な別物である事が確信出来たのだ。それは拭い難い畏怖を消し去り、同時にアタランテに我を忘れさせた。
 舌打ちしたのはクー・フーリンである。魔槍の間合いに、アルケイデスとの射線上にアタランテが入ったのだ。アルケイデスは巧みにアタランテの躰を楯として立ち位置を変えクー・フーリンの正面に決して入らない。

 ネロの叱責が飛んだ。

「何をしておるアタランテ! そんなものはただの挑発に過ぎぬのだぞ!? ディアーナ(アルテミス)が本当に居たという証拠はない、そなたがいたという証明も出来ん、根も葉もない戯言である!」

 極めて真っ当且つ現実的な物の見方だ。だがアタランテの耳には届いていなかった。
 何故なら確信していたのだ。奴は本当にアルテミスを殺していると。別の自分がどうされたかなどどうでもよい。自身の信仰した神を殺される、これ以上の冒涜と侮辱があるだろうか。
 錬鉄の弓兵が舌打ちし、ネロを見る。ネロは唇を噛み締め、宝剣『原初の火(アエストゥス エストゥス)』の柄を握り締めた。仕方がないが、貴様はアタランテに構うな、と断腸の思いで告げる。

「令呪よ、痛ましき余の臣を縛れ。アタランテよ冷静になるのだ!」

 やむをえずネロは令呪を切った。それが効力を発揮した瞬間、強制的にアタランテは冷静さを取り戻す。故にこそアタランテは慄然とした。
 クー・フーリンと、アルトリア・オルタだけが攻撃に出ている。その二騎以外は要となる複数のサーヴァント、マスターの守備についていた。故に二対一という構図で、アルケイデスを屠らんとしていたのが、冷静さを欠いたアタランテが割り込んだが為に詰め切れずにいる。
 それだけではない。クー・フーリンとオルタはアタランテが自身の眼前に来るように、アルケイデスに操作されていた。視線や足捌きなどを含めた立ち回りによって。必然、アルケイデスの目の前で突如冷静さを取り戻したアタランテは、ぎくりと身を強張らせてしまう。

 己の失態、安い挑発――アルケイデスという脅威は、アタランテのあらゆる攻撃を無効化する。動きが止まったのは一瞬だった、アルケイデスにはそれで充分であり。


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