「封鎖戦域クイーンアンズ・リベンジ」
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戦士に対する、せめてもの手向けだ。その心臓、このオレが貰い受ける……!」
魔槍の穂先を下に向けた独特な構え。辺りのマナを吸い上げ、禍々しい呪詛を放つ魔槍。
担うはケルト最強の英雄。対するはギリシャ最強の英雄の暗黒面。アルケイデスもまたゆったりと魔大剣を構える。魔槍の呪いを封じるには、そもそも魔槍を放たせないか、その一撃を相殺・破壊するだけの一撃が求められる。
因果に類する宝具など、アルケイデスは持っていない。故に相殺は不可能。魔槍の呪詛を、その一刺ごと叩き潰す破壊力が必要だった。
緊迫感が増していく。場に敷き詰められた殺気が陽炎のように空間を歪ませた。
徐々に臨界にまで高まる中、不意に腹を押さえたアタランテが訊ねた。
「待て、ランサー……!」
「……ああ? なんだ、獅子の姉ちゃん」
「その男に訊かねばならん事がある。アルテミス様がこの特異点にいただと? どういう事だ、それは!」
神霊が単独で顕現可能な時代ではない。人理が焼却されているとはいえ、この時代は神秘の廃れたものでしかないのだ。仮に現界出来たとしてもその霊基は英霊の規模にまで下がってしまう。
一体どんな神霊が、弱体化してまで現界する。する理由がない。またその術も想像できない。アタランテの問いに――アルケイデスは、悪意を噴出させた。
にたり、と笑む。それはカルデアとの戦いでは見られなかった、彼自身の熱。壮絶な邪悪の発露である。アタランテは鳥肌が立った。酷い悪寒に襲われたのだ。
「教えてやろう。奴はアルテミスとして現界したのではない。人理焼却へのカウンターとして召喚された、マスターのいないサーヴァント・オリオンの霊基で現界していた」
「な、何……?」
「無論そうである以上は英霊オリオンの力しか発揮できん。オリオンが召喚される際に、その召喚に乗っかる形で付いてきたのだろう。まったく滑稽な女神だ。オリオン自身は熊のぬいぐるみに成り下がっていたのだからな」
明確に嘲弄する復讐者へ、アタランテは怒気も露に反駁しようとした。だがそれよりも早く彼は言う。
「だが気にする事はない。アルテミスは既に殺している。この私がな」
「――」
「まず脚を折った――いや腕だったか? どちらでもいいな。ともあれ、笑えたぞ。身動きの出来なくなった、芋虫同然の姿にしてやっても気丈に睨み付けてきたが――お前の貌を潰し、それをオリオンに見せつけてやると言うと……フハッ、奴め必死に逃げようとした。その貌を蹴り抜き、殴り抜き、鼻を拉ぎ歯を全て叩き折り、一つの目玉を潰して髪を削ぎ落とした。そしてそれをぬいぐるみに見せてやったさ、するとな――泣いたよ。ああ人間の女のように泣いたのだ、女神が。まさに、甘露のようだったぞ」
「きッ――さ、まァ……」
「そしてアルカデ
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