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人理を守れ、エミヤさん!
サドンデスだ士郎くん!
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 偉丈夫足るアルケイデスの身の丈ほどもある、長大な魔剣マルミアドワーズが現れる。
 それを片腕に握り、もう一方の腕が虚空を鷲掴みにした。

「空を飛ぶ船、実に嬲り甲斐がある。だが忘れてはいまいな? 地の利は未だ私にある。貴様達の人の和で、果たしてどこまで持ちこたえられるか――見せてもらおう」

 下方の海流が突如として噴き上がる。活火山の噴火にも似た濁流がそそり立った。真名解放ならざるその水柱を受けても、黒髭の『アン女王の復讐号』は健在だろう。
 だがしかし、聖杯の所有者フランシス・ドレイクがいるとはいえ、宝具ならざる『黄金の鹿号』が耐えられる道理はない。なんとしても護れと大英雄は告げた。その意図は不可解で応じる理由はない。復讐者が卑劣にも大英雄を模して嘯いただけの可能性もある。現実的に言って信じる道理はなかった。

 だが――英雄は英雄を知る。

「ランサー……!」
「応ッ! もうやってるぜ!」

 先の警告を欠片も疑わず、クー・フーリンは即座に応じた。手持ちのルーン全てを投じ黒髭の旗艦とドレイクの愛船を囲い、上級宝具の一撃をも防ぐ防壁が展開される。

「キャス狐、この壁を更に堅牢に出来るか?」
「はい♪ コーンなの、朝御飯前ですっ」

 ネロもまた抜け目がなかった。玉藻の前は軽く請け負って腕を振るい、評価規格外の規模を誇る呪術がクー・フーリンの防壁を更に固める。
 それによって空中の二隻は、逃げ場のない牢獄と化した。大海がドーム状に形成されるも、外部よりの脅威を凌ぐ壁は、内部からの脱出すらも困難なものとしているのだ。

 こうなると分かっていての一手。間断なく防壁を削る荒潮で、自身諸共に閉じ込めたアルケイデスは、圧倒的不利な状況でありながら不遜な笑みを絶やしていなかった。
 寧ろ膨れ上がる暴威を漲らせ、品定めするように敵対者達を見渡す。

 楯の少女、これは否。
 聖剣の王ら、これらも否。
 純白の女、これも否。
 黒髭の巨漢、候補の一つだが宝具ならざる船が一隻健在な内は対象外。
 和装の女、手に合わぬ故に否。
 赤い弓兵、真価を発揮出来ぬ贋作ばかり、これも否。
 獅子の狩人、否。

 最大の脅威である光の御子――

「――往くぞ。此度の試練もまた、私は踏破してくれる」

 にやりと嗤った復讐者が、襲い掛かる。








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