第一話 クロスボーンガンダム
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………揺るがない。
揺るぐもんか。
そんな簡単に揺らぐ決意では無い。
これは、人生を左右する決断だ。
踏み止まるな。前に進め、ここで止まったら俺は一生、変わらない。
だから。
…だから。
……だから。
こうして、今の俺はここに居る。
あの決断は間違っていない…と俺は胸を張って言える。それはあの時から変わらない。
だが、これは何と言うのか。
言うなれば、これは後悔…なのか?
悩みに悩んだ末に出た結論はとても曖昧だ。
もしかしたら、もっと良い方法が有ったんじゃないか?
例えば。
もし。
もしかしたら。
或いは。
考えに考えて、考えに考え抜いて。
いつも辿り着く結論は変わらない。
でも、もしかしたら。
あの時、あの時に。
今更、後悔しても仕方ないのは解っている。それでも後悔せずにはいられないんだ。
時間の流れは誰に止められない。
流れる時の中で、この感情は刻々と薄れていくのだろう。
だから、この感情が『本物』の内に俺は母さんと決着を付けねばならない。
あんな、一方的な終わり方…絶対に認めるもんか。
「どうかしたかい?」
オンモさんの一言で現実に引き戻された。
「い、いえ。すみません。少し、考え事を…」
いけない。今は私情を挟むな、俺は今日からここの社員なんだ。
「そっ。ならいいけど」
オンモさんはリリアさんから受け取った資料を軽く見通し。
「さて、本来なら今から入社式をして天音君にはじっくり研修を受けてもらいたいんだけど…ちょいと今、社内が立て込んでてね」
チラッとオンモさんは後ろを見る。
そこでは搬入してきた資材を作業用モビルスーツが運んでいた。
「最近は、コロニー宛の搬送依頼が多くてね。ここんとこ暇なしさ」
少しくたびれた溜息をつき、現在の社内の状況の説明を始めた。
どうやら先の戦争━━━━━いや、もっと前からの戦争で積み重なった負債とでも言うべきか、地球の周辺を大量のデブリが覆っており、宇宙から地球、または地球から宇宙への電力供給、資材供給に支障を来たしているようだ。
それにより物価は高騰し、資材を運送するブラックロー運送は絶賛大儲け中なのだが…。
「貧乏暇なし…いや、金持ち暇無しだねぇ」
「社長、」
リリアさんはオンモさんも睨む。
「おっと、すまないね」
いかんいかん。といった様子で愛想笑いを作り。
「とまぁ、そういう事なんで今は繁盛期な訳さね。当分は忙しいよぉ〜」
「事情は解りました。未熟な身では有りますが精一杯頑張らせて頂きます」
「おっ。頼もしいねぇ。それじゃ、今日から早速、仕事をお願いしたいんだけど」
「はい。自分が出来ることなら、」
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