ターン5 多重結界のショータイム
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、結局自分で火をつける。
「今更だが、アンタ煙草はやるのかい?どっちにしろ、アタシは1人で吸わせてもらうがね」
「好きにしろ……赤髪の夜叉、糸巻太夫。バージェストマと不知火の2テーマを軸とした混成デッキの使い手にして、デュエルポリス家紋町支部現代表」
「おう、なんだなんだアタシのプロフィールなんぞ並べたてて。ストーカー業も請け負ってるのかい?」
煙草の力もあってかいささか落ち着いた調子でのんびりと返す糸巻の皮肉には答えず、蜘蛛が試すように問いかけを続ける。
「どんな気分だ?常に自分の武器としてきた水と炎、その2つの属性により行動を縛られる気分は」
「はっ、そこまで調べてきたうえでわざわざ豪雨と業火の2枚をチョイスしたのかい?ご苦労なこったね……いや、そうか。そういうことか」
吸いなれた味とニコチンによって、糸巻の頭も次第に冴えてきた。普段よりも鋭さを増す思考回路がふと、今の言葉をきっかけとして彼女の頭脳に不意のひらめきを送り込む。1人で勝手に納得する彼女に怪訝そうな表情を向ける蜘蛛に、にやりと笑った彼女が口から離した煙草を手札のない右手に持ち替えて言い放つ。
「悪いね、蜘蛛とやら。この勝負、アタシの負ける道理はない」
「……なんだと?」
またしても、風が吹いた。あたりに漂っていた紫煙がゆっくりとどこかに流れていく中を、彼女の言葉が突き抜ける。
「アンタのデッキを見た時から、どうも引っかかってたんだ。結界像とその打点を上げるオレイカルコス、そして使い減りしない強化手段のドラミング・コング……まあ、ここまではわかる。別に普通のデッキ構成だもんな。だけどな、問題はその後だ。リザードロー?セカンドンキー?そこまで来たらもう、アンタのデッキはただの【結界像】じゃない、【EM結界像】とでも言うべき別のデッキだよ」
「……何が言いたい?」
真意を測りかねる蜘蛛に、ますます笑みを深くする糸巻。気づかぬうちに、もはや精神的な優位関係は完全に逆転していた。獲物を自らのロックで封殺しその抵抗が弱まるのを待っていたはずの蜘蛛は、いつの間にか糸巻の言葉という糸によって逆に絡めとられていたのだ。
「アンタは【結界像】に重要なメタカードや防御手段を削ってまで、【EM】の攻撃性能をデッキに組み込もうとした。ドラミング・コングもセカンドンキーも獣族、その比率が多いところを見ると、そうだな。おおかたフィニッシャー用のハンマーマンモ、守備メタのラクダウン、強化にブーストをかけるチアモール……まあキリがないからこのぐらいにしておくが、そのへんあたりも入ってるんじゃないか?」
「……だからなんだ?笑いたければ笑うがいい、俺は最後に勝つ。そうあり続ける限り、誰にも文句など言わせはしない」
「笑わないよ」
即
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