ターン5 多重結界のショータイム
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程度になれば十分だがな。俺のフィールドにはオレイカルコスの結界を、お前のフィールドにはそら、混沌の場をくれてやろう」
「盆回しで混沌の場、か。定番通りの動きだわね」
余裕めいたことを口にしながらも、糸巻の表情は険しい。混沌の場は発動時に強制的に特定のカードをサーチさせるフィールド魔法であり、逆に言えばデッキ内にそのカードがない限りとりあえず発動することすら不可能なカード。これを裏側で送り付けフィールドの使用を禁じる盆回しは、まさにフィールド魔法に依存するデッキにとっては悪夢のようなカードである。
そして当然、彼女のデッキにカオス・ソルジャー及び暗黒騎士ガイアの入るだけの空きスペースはない。
「オレイカルコスの結界を発動。発動時に俺のフィールドに特殊召喚されたモンスターをすべて破壊する処理が挟まるが、見ての通りこの場にモンスターは存在しない。そしてこのカードは1ターンに1度だけ効果によって破壊されず、このカードが存在する限り俺はエクストラデッキのモンスターを特殊召喚できない」
蜘蛛の足元を中心に、2人のプレイヤーをすっぽりと囲むように不気味な光を放つ六芒星の陣が地表に描かれる。エクストラデッキを使用しないことが前提となるオレイカルコスと、エクストラデッキをコストにドローする強欲で金満な壺。よくできたカードだ、と毒づく彼女をよそに、あらゆるデュエリストの抵抗を封じ絡めとる蜘蛛の「巣」はすでに張り巡らされようとしていた。
「そして通常召喚、豪雨の結界像。このカードが存在する限り、互いに水属性以外のモンスターを特殊召喚することは不可能となる。さらにオレイカルコスの力により、攻撃力アップ」
「お前、【結界像】か!」
「プロにしては察しが悪いな、まあ無理もないか」
蛙の姿を模した緑色の像がごとりと地面に置かれると、その額に足元のオレイカルコスと同じ六芒星の模様が浮かぶ。
豪雨の結界像 攻1000→1500
「さらにカードを1枚伏せ、レフトPゾーンにEMドラミング・コングをセッティング」
光の柱が結界から天空めがけて伸び、その中央に2、という数字と両胸がドラムになったゴリラが浮かび上がる。一見するとペンデュラム召喚の下準備に見える光景だが、糸巻はそうではないことを知っていた。ドラミング・コングは1ターンに1度、自身のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う際にその攻撃力をバトルフェイズの間600だけアップさせるペンデュラム効果を持つ。十中八九蜘蛛の狙いはペンデュラム召喚ではなく、その効果そのものを永続魔法と割り切って使うやり方。それは単純ながらも効果的で、これで豪雨の結界像は2枚の強化カードにより実質2100の攻撃力を手に入れたことになった。
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