ターン5 多重結界のショータイム
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れから行う蜘蛛のフィールド上カードの枚数分の墓地肥やし……つまり墓地に落とす6枚のカードの中にそれが含まれていた場合には、ドローを行うまでもなくその失敗が確定する。
馬鹿馬鹿しい、ただの運のみに頼った苦し紛れのギャンブル。蜘蛛の理性は、そう彼女の行動を否定する。それでも彼女は、その限りなく低い可能性に対し気負わずに笑ってみせた。
「アンタのフィールドにカードは6枚。そうら、1枚ずつ見てこうぜ。1枚目、不知火流−燕の太刀。2枚目、牛頭鬼。3枚目、命削りの宝札。4枚目、馬頭鬼。5枚目、迷い風。6枚目、死霊王 ドーハスーラ……ここまではセーフ、いよいよお楽しみの7枚目だ。アタシはとっくに終わらせたが、アンタのお祈りはもう済んだか?」
デッキトップに文字通りの居合抜きを行う侍のように中腰で手をかけ、7枚目のカードに添えられた指先が白くなるほどに力がこもる。
「……はぁぁっ!」
周りの音が消えた。裂帛の気合とともに、運命を握るカードが引き込まれる。そして、次の瞬間。
「一撃」
ずるり、と空間が動いた。2体の結界像が、セカンドンキーが、ドラミング・コングが、伏せられていた大革命返しが、横一文字に両断された断面から徐々にずれていく。
「必殺」
そしてそれは、蜘蛛の場のみに限ったことではない。糸巻本人のフィールドでもオパビニアが、増産工場の装置が、そしてフィールドゾーンに浮かび上がった混沌の場のカードが、同じくその断面から次第に上下がずれていく。
「……居合ドロー」
「馬鹿な、そんなことが……俺のフィールドが!」
低く呟いた糸巻が、果たして引いてみせたカード……最後の居合ドローを表にする。ゆっくりと崩れていくフィールドに、呆然としたような蜘蛛の叫びがこだました。特殊召喚を封じ、手札もほとんど使い切らせていた。守りの準備も万全、勝利は目前のはずだった。
しかし、その道理は打ち壊された。馬鹿馬鹿しいほどあっけなく、そして理不尽に。自らの叫び声を遠く聞きながらも蜘蛛はしかし、どこか納得めいた感情を感じていた。追い詰めていたはずの自分と彼女の立場が逆転し、相手が精神的に優位に立ったその時点で、すでに勝負はついていたのかもしれない、と。
彼が諦めて目を閉じたその瞬間、両断されたカードが一斉に爆発を起こした。破壊され墓地に送られるカードはペンデュラムカード、及び1ターンに1度だけ破壊されないオレイカルコスを除く計6枚。12000ポイントのダメージが妨害電波による軽減をもってなおその体をぼろくずのように簡単に吹き飛ばし、地面に何度も転がしながら叩きつける。
蜘蛛 LP4000→0
「あ……ぐ……!」
全身を打ち据えられながらもどうにか立ち上がろうとして地面に手をつき、またその場に崩れ
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