ターン5 多重結界のショータイム
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エンターテイナーだ。そんな風に毎回戦術が固定されてたら見てる方だって、何よりいつかは必ず本人に飽きが来るに決まってるじゃないか。そうなった時に自分が使ってて楽しくないデッキを見せて、それで何がどうなるってんだ?そんなの、アタシに言わせりゃプロ失格だ。だから、デッキに『遊び』を作るんだよ。どんな相手にも決まった盤面で対抗して、それができるようにカードを選ぶんじゃない。戦ってみればそのたびに戦術や着地点が変わる、お決まりのカードから今日は何が飛び出してくるのかわからない。ただ強いテーマだからその時だけ使う、そんなスタイルは許されない」
「……どうやら、正体を現したようだな。人のデッキに文句をつけないなどと、口では立派なことを言っておきながら舌の根も乾かないうちにデッキ批判か?」
自嘲的な笑みを浮かべながらの指摘に、しかし彼女はそうじゃないと首を横に振る。
「言いたいことはもっともだが、これはそういう次元の話じゃない。アタシもさんざん見てきたからよく知ってるが、そういう奴は大抵次に強いカードが出たらそこに乗り換える。公式戦以外で遊ぶ分には勝手にやってくれりゃあいいが、プロはイメージ商売でデッキはその顔、使い始めたデッキは基本的に一生ものなんだ。勝てるデッキで勝つんじゃない、自分のデッキで勝つんだよ。その瞬間を見るために客は集まってくるんだし、その瞬間をモチベーションにアタシらは戦い続け、デッキと自分を進化させてきたんだからな」
「それで、混成デッキを?だが、その話が何の関係があるというんだ」
「おう、今からその話に入るとこだ。演説代は請求しないでおいてやるから、耳の穴かっぽじって聞いとけよ」
糸巻なりのプロ観に、蜘蛛は何を思ったのか。その顔からはいまだ何も読み取れないが、彼女の目には最初の出会いよりもほんのわずかに、それこそ比べてみないとわからないほどにその表情が柔らかくなっているように映った。それとも、たまたま光の当たり方が変わっただけなのか?いずれにせよ、彼女としては言いたいことを言わせてもらうだけだ。
「アンタのデッキはな、見たところまさに昔のプロの考え方そのままなんだよ。アタシらの時代でのデッキの組み方の流行りは、大まかに2種類あった。1つが、デッキの全てをたった1種類のエースのためだけに特化させる……マスコミからは過労死スタイルなんて名前付けられてたな、ネーミングはともかくそれはそれで面白いもんだった。そしてもう1つがアタシや、今のアンタのデッキと同じ。シリーズやテーマを組み合わせてワンパターンにならないように、そのくせ実戦に耐えうるだけの動きを模索した結果の型だ。だからそういう意味で懐かしい、アタシはそう思ったね」
「……ふん」
「そして、だからこそ、だ。アンタがこの稼業をどれだけ続けてきたのかは知らないが、プロデ
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