ターン5 多重結界のショータイム
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「おうともさ、そしてアンタが一等賞さ。上から言われてきてんだろ?アタシを探して潰してこいって」
「話が早いな」
「最近はアタシも暴れたりないんでね。アンタが少しはマシな相手であることを祈るよ」
そう言って明るく笑うと、男は理解できないと言わんばかりのうんざりした表情で首を振る。ややあって、小さく呟いた。
「……なるほどな。この街には赤髪の戦闘狂がいる……事前に聞いてはいたが、これほどの狂人とはな」
「ご挨拶だねえ、初対面の妙齢の美女に対する礼儀ってもんがまるでなってない。アンタんとこのボスは、随分と社員教育に力を抜いてきたみたいだね」
返事はない。おしゃべりに付き合うつもりはないというわけだろう。会話の強制終了に肩をすくめデュエルディスクを構えた糸巻が、油断なく男のデュエルディスクに目を走らせる。「BV」は、案の定組み込まれている。
当たりだ。とにかくここで敵を引き付け、内部の鳥居に疑いの目がかかるまでの時間を少しでも稼ぐ。それが、今夜の彼女の仕事だった。
「あんたもプロなら、最後に名乗っときな。アタシは知っての通り糸巻、しがない公務員だよ」
「……いいだろう。俺の名は蜘蛛……無論、本名ではないがな」
「「デュエル!」」
蜘蛛、と名乗った男がデュエルディスクに目を通し、小さく頷く。
「先攻は俺だ。糸巻太夫、クライアントからその名は聞いている。そしてその実力のほども、デッキの傾向もな」
「そうかいそうかい。で、だったらどうしてくれるんだい?」
「こうするまでだ。魔法カード、強欲で金満な壺を発動。エクストラデッキからランダムに裏側でカードを6枚まで除外し、その数3枚につき1枚のカードを引く。俺が除外するのは、この6枚だ」
先攻1ターン目から放たれた強力なドローソース、強欲で金満な壺。あいにく、彼女にそれを止める手段はない。
「そして通常魔法、強欲で謙虚な壺を発動。デッキの上から3枚をめくり、その中から1枚を選んで手札へ加える」
「好きにしな」
そう吐き捨てながらも、すでに彼女の脳内はフル回転を始めていた。初手ドローソースに、手札の質を高めるためのサーチカード。なにか、どうしても引きたいカードがあるのだろうか?
「1枚目、強欲で謙虚な壺。2枚目、苦渋の転生。3枚目……」
ここで、わずかに蜘蛛の口元が緩んだ。お目当てのカードを見つけたらしい。
「3枚目、盆回し。このカードを手札に加え、そのまま発動する。速攻魔法、盆回し!俺のデッキからフィールド魔法2種類を選択し、互いのフィールドにそれをセットする。そしてそのカードが裏側で存在する限り、互いにそれ以外のフィールド魔法を使用することができない」
「……なるほど。アタシの領土を封じに来たってわけか」
「気休め
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