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翠碧色の虹
第四十二幕:見えない虹に気付く時
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るのだと思う」
七夏「見えない事に気付いた時・・・」
時崎「七夏ちゃん、さっき俺にカニの幼生の事を教えてくれたよね?」
七夏「はい」
時崎「七夏ちゃんが居なかったら、ずっと見えないままだったと思う」
七夏「あ・・・」
時崎「それに、見て! このメクラウオ!」
七夏「???」
時崎「こんなに元気そうに泳いでて、お互いにぶつからないし、岩も避けてるよ!」
七夏「・・・・・」
時崎「これって、見えてるって事じゃないかな?」
七夏「・・・・・はい☆」
時崎「ありがとう。七夏ちゃん!」
七夏「くすっ☆」

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

一通り水族館本館を周って、最初に見た大きな水槽まで辿り着いた。

時崎「これで、全部見れたかな? 七夏ちゃん、お疲れ様!」
七夏「はい☆ のんびりと周れて楽しかったです☆」
時崎「確かに、結構ゆっくり見れたね!」
七夏「はい☆」

水族館を出て、隣町の駅前まで一緒に歩く。今日は俺自身も色々と思う所があったな。なにより楽しかった。七夏ちゃんとまた水族館に来れたらいいなと思う。

七夏「柚樹さんと、また水族館に一緒に来れるといいな☆」
時崎「!!!」
七夏「どしたの?」
時崎「ありがとう! 今、七夏ちゃんと同じ事を考えてたから」
七夏「あ・・・えっと・・・」
時崎「また、機会があったらよろしく! 次は海を楽しもう!」
七夏「は、はいっ!」

七夏ちゃんも楽しんでくれたみたいで良かった。これからも七夏ちゃんが、もっと楽しくて幸せな気持ちになってほしいと思う。

七夏「あっ!」
時崎「!?」

商店街を歩く中、少し先を歩いていた七夏ちゃんの足が止まった。
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先ほど、水族館で七夏ちゃんが大きな水槽を眺めていた光景と重なった。七夏ちゃんが眺めているのは、花嫁衣裳、ウェディングドレスだ。俺は、水槽を眺めていた時と同じように、七夏ちゃんを待つ事にした。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

七夏「柚樹さん、ごめんなさいです」
時崎「とっても素敵だね!」
七夏「はい☆ つい眺めちゃった☆」
時崎「その気持ちは、とてもよく分かるよ!」
七夏「くすっ☆ 私もいつか、こんな素敵な花嫁衣装が着れるといいな♪」
時崎「そ、そうだね!」

なんか焦って、気の利いた返事が出来なくなっていた。

七夏「くすっ☆」
時崎「七夏ちゃん!?」
七夏「その前に、お料理とか色々と頑張ります☆」
時崎「はは・・・」

七夏ちゃんがどのような事を思っているのか、考えると顔が熱くなる。だけど、それがとても心地よい。俺は、これから先も、この感覚を大切に想いながら、七夏ちゃんの事も大切に想えるように・・・今、見え始めた虹に気付くのだった。

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