おもてなしだね士郎くん!
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嗟に牝鹿を送還して消したが、己へ迫る剣弾への対処は遅れてしまった。
錬鉄の弓兵が黒弓につがえた螺旋の剣を射出する。それはルーンの結界を易々と貫き、アルケイデスに着弾する。同時に投影宝具は炸裂した。壊れた幻想――無論、人の手による作である螺旋剣は神獣の裘を突破出来ない。されどそれに覆われていない部分はその限りではなかった。
炸裂した爆発がアルケイデスに確実なダメージを刻み込んだ。激痛よりもその屈辱に呻き、アルケイデスは結界が崩れ去るより前にそれを足場に跳躍した。
『黄金の鹿号』の船上に乗り込んだアルケイデスは、神獣の裘に覆われていなかった腕や脚を焼け爛れさせ、憎悪と共に弓を消し魔大剣を取り出す。
「――やってくれる」
「まだまだたんまりあるよ? コイツはアタシの奢りだぁ!」
デッキの隅に下がった船員をよそに、ドレイクは怯む素振りすらなく二挺の拳銃を連射した。
その全ては神獣の裘に阻まれ、まるで意味がない。故に彼女から視線を外し、一足先に船の上にて待ち構えていたクー・フーリンを睨み付けた。魔大剣を構え、アルケイデスは大剣の間合いまで瞬時に踏み込もうとする。
「魔槍は使わせん」
「余所見とはな。その傲り、高くつくぜ?」
「何――?」
「どこ見てんだいッ!」
銃撃がまるで意味を成さぬと見るや――ドレイクは素手で殴り掛かってきていた。
生身の、それも女が明らかな格上に白兵戦を挑んできたのに、さしものアルケイデスも面食らった。その拳を咄嗟に受け止めたのがアルケイデスの不覚。なまじ卓越した反射神経を持っていたのが不運。瞬時にドレイクの拳を握り潰すもその瞬間は明確な隙だった。
「呪いの朱槍をご所望みてぇだな? 喰らいな、『刺し穿つ』――」
「グッ……!」
ドレイクを捨て置きアルケイデスは全力で後退した。隔絶した戦士を前にして隙を晒すなど言語道断、己の失態にアルケイデスは歯軋りし、魔槍の真名解放を凌ぐべく肉壁を押し付ける。
宝具『十二の栄光』より召喚せしは『クレタ島の暴れ牛』と『ディオメデス王の人喰い馬』だ。海神により凶暴化した魔獣の牛と、軍神の子が飼い慣らしていた四頭の聖獣がクー・フーリンに迫る。
「――『死棘の槍』ッ!」
魔獣を一突きで屠り、四頭の聖獣の合間を掻い潜ったクー・フーリンはアルケイデスに肉薄した。
「飛べ」
己の腹筋が爆発したような衝撃に苦悶する。光の御子の蹴撃がまともに入り、アルケイデスはドレイクの船から『アン女王の復讐号』まで吹き飛ばされる。
黒髭の旗艦のマストにぶつかり、落下した復讐者を待ち構えていたのは、楯の少女と騎士王ら。黄金と漆黒の聖剣の光が復讐者を照らしている。
「やぁぁ!」
マシュ・キリエライトは果
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