おもてなしだね士郎くん!
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未知のサーヴァントだが武威は感じられない。風貌とも合わさってまず戦士ではない。暗殺者でも。であれば、
「キャスターか」
能力は何か。日ノ本の英霊であれば、魔術ではなく呪術とやらを扱うのかもしれない。それなら対魔力は役に立つまい。最高ランクの対魔力を持つからと慢心する訳にはいかない。
あの白髪の男は何処だ? 姿が見えないが。やはり船内で休んでいるのか。しかし黒髭の宝具である船にこれだけのサーヴァントが乗っているのだ。であれば防備の観点から見て、その前方を往く海賊船にサーヴァントのマスターが乗っている事はあるまい。現に金髪の女マスターは宝具の海賊船にいる。
であればそちらを狙い海の藻屑としても敵戦力の削減は望めない。狙う価値はないが――だからこそ狙う。
「どぉっせい! 槍男、逝けやァ――!」
「見え透いてんだ、テメェのやりそうな事は」
黒髭がその膂力を唸らせる。両手を組み、光の御子を空中に押し出した。
推進力を得たクー・フーリンは、前方の『黄金の鹿号』に弓を向けた復讐者へ挑み掛かる。真紅の呪槍を以て刺突を放つが、復讐者は来るのが分かっていた故にあっさりと牝鹿の身を躱させ、大弓で槍を払う。空中ゆえに踏ん張りが利かず、本来の力を出し切れない光の御子を嘲った。
「今度は以前のようにはいかんぞ、忌々しき神の御子よ」
「ほざいてろ――」
交錯は一瞬。重力に引かれ、落下していく槍兵に最低限の意識を常に割きながら、牝鹿を海面に着地させる。再び跳躍させ、船ごとフランシス・ドレイクを消し飛ばさんと弓を構えた。
星の開拓者が吼える。
「――全砲門開けぇ! 藻屑と消えな!」
時は干潮。潮が低い。海底より剣山のような岩の突起が覗いている。そこへ船員が縄の輪を投げ掛け、剣山の如き岩を起点に『黄金の鹿号』が急激に旋回する。船体の真横に獲物を捉え、空中の牝鹿目掛けて砲弾が撃ち放たれた。
アルケイデスが己に狙いを定める寸前より旋回は始まっていた。己を睨む砲口に復讐者は憎悪に染まった瞳で暗く笑む。
迫る砲弾は、己にはまるで功を奏さない。だが牝鹿は違う。騎乗する忌々しい聖獣を護る為、舌打ちしながら砲弾を矢で撃墜した。
「おいおい……冗談きついよ?」
砲撃より半秒としない内に全弾を撃ち落とされたのを目撃し、さしものドレイクも顔を引き攣らせる。
聖杯を所有するドレイクの乗る船だ。その銃撃や打撃は言うに及ばず、彼女の駆る船もまたサーヴァントに有効な攻撃を与える事が可能となっていた。
にも関わらず、全ての砲弾が撃ち落とされたのである。神業だ。弓は矢をつがえ、弦を引き、狙いを定め、放つという動作があるというのに、それを全く感じさせない速射だった。
『黄金の鹿号』は旋回し『アン女王の復讐号』の
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