策戦の時間だね士郎くん!
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も軍を率いては、はっきり言って一流未満であったヘラクレスに負ける気はしない。
狩人、戦士としてのヘラクレスが相手なら、俺は逃げの一手。だが武力だけではなく戦術が介在するなら――そして相手が『なんでもする』類いの外道なら、至極やり易い格好のカモである。
俺が最も苦手とする手合いは、自分が賢いと勘違いしている底抜けの阿呆だ。思考が読めない馬鹿ほど厄介なものはないのだから。その点ヘラクレス野郎は半端に頭が切れる。ああカモだとも。
「――奴に俺を殺し切れなかった事を後悔させてやる」
「うむ」
「だな」
「うわぁ……この方は肉食系ですやっぱり……玉藻こわーい!」
玉藻の前の戯れ言をさらりと流し、俺は彼らに向けて笑みを投げた。
「纏めよう。俺としては、奴は俺達が上陸する寸前に仕掛けて来ると踏んでいる。そのタイミングなら普通気が抜けるからな。そして海上でも遠距離から仕掛けられる奴にとって最も都合がいい。俺達の迎撃を考慮に入れても、仕掛けない理由はないだろう。ネロ、この時に俺達がすべき事はなんだ?」
「まずはドレイクらが落とされぬよう、守備を固める事だな。アルケイデスと名乗る事すら烏滸がましい下劣な外道ならば、必ず狙ってくる」
「それが一点。アーチャーは?」
「フン。決まっている。奴の優先順位は後衛である私やアルカディアの狩人、何よりもマスターである皇帝と貴様だ。奴にとって目障りな回復役のキャスターは必ず仕留めたいだろう。それをさせない配置を心掛ける必要がある」
「それで二点。だが定石だな。一つ言っておくと俺は次でヘラクレス野郎を仕留めようと思っちゃいない」
「なんでかしら?」
アイリスフィールの質問に俺は丁寧に答えた。
「アイリさん、奴は戦術家としては大した事はないが、無能じゃない。そして戦士や狩人としては一つの神話の頂点でもある。簡単に殺しきれると考えるのはナンセンスだろう? 奴が海上で仕掛けて来る利点は、引き際を見誤らなければほぼ確実に撤退出来る点だ」
「あ、そうね。じゃあどうするのかしら」
「第一の目標は、全員が無傷で切り抜ける事。第二の目標は――奴の手札を可能な限り晒させる事だ」
仕留められるならそうする、だが無理はしないで次に繋げる。方針はそれだ。
次で仕留めるのは難しいだろう。だから次か、その次までに手札を全て晒させ、三度目で必ず殺すというのが、玉藻の前が召喚される寸前まで考えていた事だ。それには今も変更はない。無論、敵の新手が来た場合についても考慮の内だ。
「好いた殿方の事は一つでも多く事前に把握し、ここ一番の本番でそのハートを鷲掴むって事ですねエミヤさん!」
「タマさん、その喩えはちょっと……いやまあ、トドメの心臓をゲットする役はランサーになるだろうけどな」
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