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人理を守れ、エミヤさん!
策戦の時間だね士郎くん!
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がドレイクの持つ聖杯のせいなのか、はたまたまだ見ぬ敵の黒幕による狙いがあるのかはまだ判然としなかった。問題は地形の把握が著しく難しくなっている事である。これは敵の探索、戦場の選択を大幅に難しくさせるのだ。指揮官(コンダクター)としては頭の痛い状況である。

 クー・フーリンとアーチャー、アイリスフィールと玉藻の前、ネロに視線をやってからデッキの手摺に向かう。其処に肘を乗せて縋りながら、俺は彼らが寄ってくるのを待つ。

「なんだ、シェロ。意味深な視線を寄越して」

 ネロが開口一番に問い掛けてくる。肩を竦め、俺は白波の立っていない穏やかな海から視線を離さず、『黄金の鹿号』のドレイクとその部下のやり取りを眺めた。
 船首に立つ星の開拓者の生前の姿。その全盛期にはほんの少しばかり若いだろう女傑はこちらの視線に気づくと不敵な笑みを浮かべた。幾人かサーヴァントを同乗させようかと出航前に訊ねたのだが、彼女は要らないと退けた。そっちの方が面白いだろう? と。まあそれならそれでいい。やる事は何も変わらないのだ。
 振り返り、デッキの手摺に背を預けて集まった連中の顔を見渡す。

「そろそろ具体的な作戦を詰めておこうと思ってな。なんの取り決めもなしにぶっつけ本番ってのはバカ丸出しだろう? 一度は奇襲された、これからも襲撃されるのは分かっている――ならその対策と立ち回りを周知して、意思統一を図るのは当然だ」
「うむ、道理である。ヘラクレスの名を汚すあの下郎は、なんとしても討たねばならん。そなたが言い出さねば余から言おうと思っておった所だ」

 ローマ皇帝ネロは、熱烈なヘラクレスのファンである。神祖が一番だろうが、二番目に是非とも召喚したいサーヴァントの候補だろう。
 故にアルケイデスの所業が赦せない。アルトリア達やクー・フーリンに、負けず劣らず腸が煮え繰り返る思いなのは想像に難くなかった。

「で、具体的にはどうするのだ? 船の上では、あの黒髭めやドレイク、騎士王らしかまともに戦えぬだろう。何せ奴の駆る牝鹿は水面でも問題なく走るというではないか」
「堅実且つ現実的に作戦を練るなら、やはりどこかの陸地で迎い撃ちとうございますね」
「それが一番だけどな、タマさん。だがそんな事はあのヘラクレス野郎も承知している。単騎で仕掛けて来る事は考え辛いが、逆に単騎でも立ち回れるとしたら、俺達が海の上にいる時だ。何せこちらの戦力の過半が海上だと無力。エドワードやドレイクの砲撃も、素早いケリュネイアの牝鹿に直撃させるなんて無理な話だろう。相手にも船を宝具に持つサーヴァントがいたら話は変わって来るが――これはアルトリアも共通認識だが、恐らく次もヘラクレス野郎は単騎で来るだろう」

 俺の場合は純然たる経験や、戦術の観点からの勘だが、アルトリアの場合はそれを込み
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