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人理を守れ、エミヤさん!
策戦の時間だね士郎くん!
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刑砲、もとい必殺の玉天崩を放たねばなりせんね……」

 しゅ! しゅ! 切れ味のあるシャドー金的の蹴りに冷や汗が噴き出る。さっき俺に言っていた呪相・玉天崩とは金的の事だったのか……。
 ごくりと生唾を呑み込み、戦慄を隠しつつ傍らのクー・フーリンに言った。

「……いざとなったら、楯になってくれ」
「は? オレに死ねってのか!?」
「お前霊体だろ、こっちは生身だ。潰れて困るブツじゃないだろランサーのは」
「男に潰れて困らねぇブツは無ぇよ!」
「大丈夫だから。満身創痍になっても平気な顔をしていられるお前なら金的も大丈夫だから」
「そっくりそのまま返すぜ糞マスターが!」
「……醜い争いはやめたまえ。見苦しい事この上ないぞ」

 アーチャーが心底下らなさそうに制止してくるのに、俺とクー・フーリンは顔を見合わせる。
 玉藻の前のシャドー金的によって、割れかけていた心が一つになった瞬間だった。

「生け贄はコイツだな」
「そうだな。顔は同じだしアーチャーがやられても俺がやられても同じだ」
「どんな理屈だ貴様! キャスターに貴様の所業を伝えるぞ!」
「おっ。遠回しに自殺か。流石は色男、なかなか出来る事じゃねぇな」
「くっ……! それを言ったら貴様もだろうランサー! 貴様の好色ぶりは伝説にも語られるほどだと忘れるな!」

 男性陣の絆がたかがシャドー金的で崩壊寸前に……! だめ、やめて! 私の為に争わないで!

「まあいざとなったら令呪があるしいっか」
「!? テメエ血も涙も無ぇのか!?」
「それをやったら戦争だぞ……! 戦争するしか無くなるぞ……!」
「ふはは、マスターの身代わりになる栄誉だ、咽び泣きたまえ。だが安心しろ、この特異点の間なら、黒髭の奴が最優先で使われるから」
「なんの慰めにもなって無ぇ!」

 ははは、と笑う俺を、何故か生暖かい眼差しで見守る騎士オーズ。オルタは黒髭を蹴り倒し、頭を足でグリグリと踏みにじっているので、その暖かい眼差しとの乖離具合が実に混沌としている。
 ほろりとマシュが涙を流し、アイリスフィールなど感極まったように口許を両手で覆った。

「先輩が元気に……! いつもの先輩が帰って来ました……!」
「そうねっ。ええ、マスターが元気になってくれて嬉しいわ」

 ……居たたまれなくなったので咳払いをする。マシュとアイリスフィールに俺がどう見えているのか、一度膝をつき合わせて問い質す必要があるかもしれない。

 風に乗り、波を掻き分け進む二隻の海賊船。潮風と波打つ海の調べと、どこからか聞こえてくる海鳥の鳴き声を背景に、今のところ一度もドレイクと黒髭が立ち寄っていない最寄りの島を探し求めていた。
 海図が宛にならないこの海域の状況、原因は聖杯であると見て間違いあるまい。それ
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