第四十九話 合格してからその二十二
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「あそこも行ったことがあるの」
「子供の時に親に連れて行ってもらいました」
それで行ったことがあるというのです。
「それで自由軒にはよく行ってます、それで今度ですけれど」
「今度って?」
「誰かと夫婦善哉行きたいですね」
ここでまた私を見てきました。
「そう思いません?」
「そうしたお店だからね。ただどうして私見るの?」
そこがわかりませんでした。
「そこで」
「それはまあ何ていいますか」
「何てって」
「まあそのうちお話します」
「そのうちなの」
「はい、じゃあ祖霊殿に着きましたんで」
気付けばでした、その祖霊殿の前に来ていました。ここは神殿の三殿の中で一番小さな場所だったりします。
「参拝しましょう」
「ええ、じゃあね」
こうしてでした、私達は今度は祖霊殿で参拝しました。
それが終わってです、南の礼拝場を通ってそうして元の場所に戻る道を通ることになりましたがここでまたでした。
阿波野君は私の方を見てまた織田作之助さんのお話をしてきました。
「若くして亡くなってまして」
「結核よね、確か」
「はい、そうです」
「昔は多かったのよね、結核」
太宰治さんもそうだったと聞いています。
「戦争中までは」
「それで織田作之助さんもだったんです」
「若くして結核で」
「僅か三十四歳で」
「本当に若いわね」
「昭和ニ十二年の一月でしたね」
その時に亡くなられたそうです。
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