第三十一話 九州攻め前その九
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「耶蘇教に傾き過ぎていて」
「他の神仏をないがしろにしておられまする」
「それが政を誤ってです」
「人心も離れていますな」
「そうじゃ、あの様なことをされては」
到底というのだ。
「今の様に至るも当然であろうか」
「家が傾いてですな」
「島津家の前に今や風前の灯火」
「そうなることもですな」
「当然のことだったのですな」
「そうやもな、しかしな」
それでもと言うのだった。
「その大友家を支える方々を忘れてはならぬな」
「それが立花殿、高橋殿ですな」
「そして二人のご子息ですな」
「その方々ですな」
「急ぎたい、島津家の大軍が岩屋城を囲む」
間もなくというのだ。
「そこには高橋殿がおられる、高橋殿は大軍を前にして降られる方ではない」
「だからですな」
「あの方は死ぬ覚悟で戦われ」
「そのうえで、ですな」
「命にかえても大友家を守られますな」
「あれだけの方を失ってはならぬ」
到底というのだ。
「だからな」
「ここは、ですな」
「必ずですな」
「高橋殿をお救いする」
「何としても」
「焦って進んではならぬが」
それでもというのだ。
「あの方はお救いせねばな」
「なりませぬな」
「何としても」
「失うには惜しい方であるが故に」
「そうじゃ」
その通りだというのだ。
「殿にも申し上げたが」
「右大臣様もですな」
「よしと言われましたな」
「左様ですな」
「高橋殿について」
「だから直臣にされたいのじゃ」
救いたいと思うからこそというのだ。
「ならばじゃ」
「遅れてはなりませぬな」
「何としてもですな」
「失うにはあまりも惜しい方じゃ」
それが為にもというのだ。
「何としてもじゃ」
「はい、それでは」
「ここはですな」
「高橋殿をお救いする」
「そうしましょうぞ」
「そういうことじゃ、では出陣の用意じゃ」
それに入ろうと言ってだ、そしてだった。
明智は出陣の用意をさせてだった、その中で茶会も催してそこで母と妻に対して優しい声で言った。
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