第三十一話 九州攻め前その八
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「そしてじゃ」
「四天王はそうなっていますな」
「そして織田家の武の二枚看板は柴田殿と佐久間殿です」
「とかく柴田殿はいつも出ますな」
「あの方は」
「そうであるな、柴田殿は武の方じゃが」
織田家随一の攻め名人と言われている、かかれ柴田というのは彼がいつも攻める時にかかれかかれと言っているからだ。
「政も出来る方だからな」
「非常に心遣いの出来る方ですし」
「お心も優しいですし」
「人望もありますし」
「織田家一の臣と言っていいですな」
「わしもよくしてもらっておる」
明智も柴田には色々恩義がある、武張っているのは確かだがその心遣いにいつも感謝しているのだ。
「あの方には勝てぬ、そして羽柴殿にもな」
「あの御仁は四天王等に入っていませぬが」
「兎角織田家で名が知られていますな」
「明るく剽軽で人情家で」
「そして民を大事にされて」
「南蛮の者達が民を奴婢としてこき使っておると聞いてな」
今織田家の間で問題になっている、無論明智も反対だ。
「特に怒っておる」
「あの方らしいですな」
斎藤は明智の今の話にしみじみとした口調で述べた。
「そのことは」
「うむ、民への愛情が強い御仁だからな」
「それ故にですな」
「民を奴婢にすることは許さぬ」
それも断じてというのだ。
「誰よりも強く名」
「だからですな」
「あの方はこのことに特に怒られて」
そしてというのだ。
「耶蘇教にもかなり疑念を抱いておられる」
「それも当然ですな」
秀満はその話を聞いて確かな声で述べた。
「耶蘇教の坊主達が手引きしているなぞ」
「この様なことは本朝ではなかったしじゃ」
「有り得ぬことですな」
「人買いが人を売ってな」
そしてというのだ。
「売られた先でこき使われることはある」
「それはある話ですな」
「しかしじゃ」
それでもというのだ。
「奴婢にするなぞな」
「昔はあったことですが」
それでもとだ、斎藤は述べた。
「しかしそれはです」
「大昔のことであるな」
「もうありませぬ」
日の本の国にはというのだ。
「まして人をそこまで落とすなぞ」
「やはりないな」
「その様なことをするなぞ」
まさかという顔にもなってだ、明智は述べた。
「耶蘇教、そして南蛮の者達にはな」
「殿もですな」
「疑念を抱いておられますな」
「そしてですな」
「南蛮とのこれからのことは」
「交易は続けることはな」
それはとだ、明智は述べた。
「右大臣様のお考えでな」
「そしてですな」
「殿もですな」
「このことについては」
「疑念を抱いておられますな」
「そうじゃ、そのうえでじゃ」
まさにと言うのだった。
「耶蘇教のこともどうかとな」
「考えておられます
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